人名事典

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岩井克人

(いわい・かつひと)
 一九四七年東京都生れ。東京大学経済学部卒。マサチューセッツ工科大学で博士号取得。エール大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授を経て教授。

 レトリックを駆使し経済現象を意外性に満ちた物語として読ませてくれる知的エッセイストの側面がある。とくに、シェークスピアの戯曲にことよせて資本主義の本質を読み抜いた『ヴェニスの商人の資本論』は多くの読者を獲得した。半面、新古典派経済学の大前提である「均衡概念」を疑い、均衡をもたらすとされる「神の見えざる手」を「見る」ことを試みた『不均衡動学の理論』は難解な議論と数式に満ちている。従来の経済学の概念を覆す手法で経済現象に取り組む最先端の経済学者といわれるゆえんであろうか。

 著書に『ヴェニスの商人の資本論』(筑摩書房、85年)、『貨幣論』(筑摩書房、93年)などがある。

(データ作成:1997年)