人名事典

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村上 龍

(むらかみ・りゅう)
 一九五二年長崎県生れ。武蔵野美術大学中退。

 処女作『限りなく透明に近いブルー』(講談社、76年、群像新人賞、芥川賞)は、発売半年で百二十万部。ドラッグとセックスに明け暮れる若者たちを、残酷なまでに乾いた筆致で描いたが、不思議とそこに絶望感はなかった。以後、日本文学の新しい旗手として二十年間走りつづけ、『限りなく』以来最高の傑作ともいわれた『Kyoko』(集英社、95年)では、ダンサーの主人公を通して、「傷を癒すのではなく、いかに傷から自由に生きるのか」を問いかけた。これは外部に救済を求めがちな現在の状況に対するアンチテーゼであろうか。

  著書に『五分後の世界』(幻冬舎、94年)、『ヒュウガ・ウイルス』(幻冬舎、96年)など。

(データ作成:1998年)