人名事典

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林 健太郎

(はやし・けんたろう)
1913年東京都生れ。東京帝国大学西洋史学科卒。一高教授、東大助教授を経て、同大教授、同大総長。参議院議員にも。現在東大名誉教授。

 ドイツ近・現代史を専攻。最近は、村山政権の成立直後に、この政権を「55年体制の延長」とする考え方に疑義を呈し、「ここに現れた事態は新しいものである」と断言。また、戦前の歴史について「不戦条約」や「満州事変」の評価について、小堀桂一郎氏、中村粲氏などと論争。戦前の不戦条約は一定の評価をすべきものであり、満州事変および太平洋戦争は侵略行為であることを認めるべきだと、「歴史の事実」を強調する立場をとった。六九年の東大紛争のさい、学生によって軟禁されたが、一歩も引かず、むしろ立場を超えて敬意を集めた。いまも堅固な姿勢と洞察力は衰えるところがない。

 著書に『歴史からの警告』(中央公論社、95年)がある。

(データ作成:1997年)