人名事典

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樋口陽一

(ひぐち・よういち)
 一九三四年宮城県生れ。東北大学法学部卒。パリ大学に留学後、東北大学教授、東京大学教授を経て上智大学教授。

 フランス型の基本的人権を強調する憲法学を展開、戦後の宮沢俊義憲法学の継承者とみなされている。徹底した個人主義の立場から近代憲法および日本国憲法を論じる、護憲派の理論的支柱の一人。作家・井上ひさしとの対談で、樋口氏は九条の解釈を「軍隊を持ってはいけない、ということです。九条二項を謀略説的に読まないで、普通に読めば、戦力を持たないと定め、交戦権を否認しています」と述べ、「(正当防衛という)権利が個人にあるのだから、国家にも自衛権はあるはずだという論法」は、「単なるトリック」だと無条件に断じている。典型的な人権主義的平和主義者といえよう。

 著書『「日本国憲法」を読み直す』(共著、講談社、94年)ほか。

(データ作成:1997年)