人名事典

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玉村豊男

(たまむら・とよお)
 一九四五年東京都生れ。東京大学文学部仏文科卒。パリ大学言語学研究所留学。通訳、翻訳、旅行添乗員などを経て、七三年よりライター稼業に。

 旅と食を中心に描く才気煥発、ユーモアたっぷりのエッセイストとして知られる。現在、雑誌で活躍中のコラムニストはほとんど、この人に私淑しているのではないだろうか。昨年著わした『エッセイスト』(朝日新聞社、95年)は、エッセイストになる方法を一般論としてではなく自分の経験から振り返った「自叙伝」。その結びの言葉が示唆に富む。「『エッセイスト』は、字義の通りに解釈すれば、『試みる人』である。私はつねに試みる人でありたい。……ひとりの人間が死ぬまでエッセイを書き続けるに足る材料は、かならずその人ひとりの中に詰まっているはずなのだ」。この人らしい人間讃歌である。

 著書に『田園の快楽』(世界文化社、95年)、『日常の極楽』(鎌倉書房、90年)など。

(データ作成:1997年)