人名事典

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甘利俊一

(あまり・しゅんいち)
 一九三六年東京都生れ。東京大学工学部卒。九州大学助教授、東大教授を経て、現職。

 「人間はコンピュータより素晴らしい」という氏の興味分野は、数理工学の視点からみた脳の情報処理機構の解明。「人間は自らニューロン(神経細胞)の結合の仕方を変え、自己組織化を積み重ねた結果、外界からの刺激にも耐えうる平衡状態を確保、これがカテゴリーや言語になった」というのが氏の脳進化論。つまり、脳はある種の情報処理原理に沿って進化してきたとの前提に立つ。生理学や認知科学など、幅広い分野からのアプローチを続ければ、機械はさらに人間に近くなるともいう。氏の研究テーマは一貫して「人間学」をそのベースにおいている。九五年、「神経情報処理の基礎理論の研究」で日本学士院賞を受賞。

 著書に『バイオコンピュータ』(岩波書店、86年)ほかがある。

(データ作成:1997年)