人名事典

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長谷川 宏

(はせがわ・ひろし)
1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程修了。民間の哲学者としてヘーゲルを研究。

 翻訳でも読みにくいヘーゲルの哲学書を、平易な言葉で翻訳し、日本における「ヘーゲル・ルネッサンス」を巻き起こす。たとえば「即自的」「対自的」などという言葉も、すべて文脈によって訳し分け、ともかく「読みやすいヘーゲル」を読書人・学生・研究者に提供してくれた功績は大きい。

 すでに『哲学史講義』(河出書房新社)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)、『美学講義』(作品社)が出版されており、九八年には最大の難物とされていた『精神現象学』(作品社)も完成。「難文、悪文、拙文、不文、その他、なんとでもいいたくなるような代物」(長谷川氏)が、読みやすい普通の言葉で翻訳されている。

 一貫して民間の学者を続け、仕事をもつサラリーマンのために、休日毎にヘーゲルの輪読会を主催するなど、私生活においてもユニークな姿勢を保持している。

 著作に、若い時代に愛読したサルトルについて論じた『同時代人サルトル』(河出書房新社)、ヘーゲル入門の好著『新しいヘーゲル』(講談社現代新書)などがある。

(データ作成:1999年)