人名事典

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高尾義一

(たかお・よしかず)
 一九四七年大阪府生まれ。神戸商科大学卒業後、野村総合研究所に入社。ロンドン支店勤務、野村證券への出向、野村総合研究所調査本部長などを経て野村総合研究所理事。

 激変する国際金融を追跡、世界のホット・マネーの動向を論じて氏の右にでられる者は少ないといわれる。九七年のアジア通貨危機の際にも、即座に世界のホット・マネーの動きを捉えて、アジアを引き揚げた世界のマネーが、アメリカに流れ込む構造と必然性を論じた(『週刊東洋経済』九七年八月三十日号)。

 九五年の『平成金融不況』(中公新書)は、日本の金融システムの欠陥をするどく分析してベストセラーとなる。また、九七年橋本首相の「米国国債売却」発言の際には、日米の密接な経済構造を指摘するとともに、「日米両国が互いに勝手なことをしすぎれば、日本に反米感情が生まれて、けっして望んではいない米国債売却に駆り立てられるようなことにもなりかねない。そんな事態にならないようにしてほしい。(その意味で)これは正当な主張である」と論じた(『Voice』九七年九月号)。

 ビッグバンによって世界の金融に晒される日本にとり、正確で素早い金融市場の把握が必要となる。氏の言論はますます重視されることになろう。

 近著に『金融デフレ』(東洋経済新報社)がある。

(データ作成:1999年)