人名事典

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丹波 實

(たんば・みのる)
 一九三八年旧樺太生れ。東京大学法学部卒。外務省入省、安全保障課長、ソ連課長、駐ボストン総領事、北米局審議官、国際連合局長、条約局長を歴任して駐サウジアラビア大使。

 「きょう、あすの東京の決断が今後十年、二十年の日米関係を決める」||湾岸戦争勃発時、北米局審議官として渡米した氏が政府首脳らに送った「丹波メモ」はつとに有名。米国の要求に応えるべく中東貢献策のとりまとめに奔走したが、結局後手に回り、感謝の言葉すらなかった経緯を知悉する。

 その後『Voice』(92年5月号)のインタビューに答えて、「いままでは何か事件が起ると、政府や外務省の首脳がアメリカに飛んでいって向うの要求を聞き、それを国内にもち帰って関係各省と根回しをして団子をこねる。その団子がアメリカから小さいと文句をつけられると、もう少し大きな団子をつくる」いわば注文取り外交だったが、「今後は、事が起きたら、日米間だけではなく世界のことも視野に入れた答案をもっていこうじゃないか」と述べた。氏の胸中いかばかりか。

(データ作成:1997年)