人名事典

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今井賢一

(いまい・けんいち)
 一九三一年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業後、横浜国立大学助教授、一橋大学教授、同大学産業研究所長などをへてスタンフォード大学教授・スタンフォード日本センター研究所長。

 長年にわたり日本の産業組織の体系的分析を行い、はやくから地域産業の育成を主張(『地域からの産業論』共著 筑摩書房 八〇年)。また、企業の内部組織の研究を推進し(『内部組織の経済学』共著 東洋経済新報社 八二年)、他に先駆けてネットワーク社会の影響を考察してきた(『情報ネットワーク社会』岩波新書 八四年)。

 こうした先駆的な学問的業績のみならず、一橋大学産業研究所長時代に、学閥や方法論にこだわらず、おおくのユニークな人材を同研究所に集めて、日本の経営学・企業論の発展に寄与したことも特記されるべきであろう。たとえば、このとき同研究所に招かれた経営学者に、のちに所長を務める野中郁次郎氏がいる。

 近年のテーマは資本主義システム間の研究だが、同じくスタンフォード大学・青木昌彦氏の「比較制度分析」との協力による成果が生まれている。つねに最先端の研究と、周囲との協力を積極的に推進する、希有なネットワーク的研究者であるといえよう。

 著作に『資本主義のシステム間競争』(筑摩書房)がある。

(データ作成:1997年)