人名事典

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佐高 信

(さたか・まこと)
 一九四五年山形県生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、郷里で高校教師となるが、再び上京。経済誌「現代ビジョン」の編集長を経て独立。

 膨大な読書量を誇り、その激しい書評および財界人評で「辛口評論家」として知られるようになる。その「辛口」は、長谷川慶太郎氏を「バブル評論家」、田原総一朗氏を「毒がなくなった」、ビートたけし氏を「現代のタイコモチ」、梅原猛氏を「ヒモノの学者バカ」、弘兼憲史氏について「弘兼の『課長島耕作』を読むと、精神的には死んだ人間になる」などと、かつての親疎の別なく酷評するところにも現れている(いずれも『筆刀直評』毎日出版社)。

 もちろん日本の企業および官公庁に対する批判も激しい。『会社は誰のものか』(社会思想社)では、企業世襲を叩き、イエスマンだらけのサラリーマン社会を批判し、「自閉症ならぬ『社閉症』を病み、家畜ならぬ『社畜』にならないために」逆命利君の精神つまり上司に逆らっても正しい行動を貫くよう生きよと論じる。また、『日本官僚白書』(講談社 八六年)でも「官僚意識」を厳しく批判したが、最近は『大蔵省分割論』(光文社)で大蔵省解体の急先鋒となる。

 興味深いことに、読者は圧倒的にサラリーマンが多く、佐高氏の激しい「筆刀」はサラリーマンの日頃の鬱憤を晴らすものとなっている面があるようだ。

 著作に『逆命利君』(講談社)、内橋克人氏との共著に『「日本株式会社」批判』(現代教養文庫)など多数。

(データ作成:2000年)