人名事典

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加賀乙彦

(かが・おとひこ)
 一九二九年東京都生れ。東京大学医学部卒。東京医科歯科大助教授、上智大教授を経て、小説家。

 終戦で国家に裏切られた世代の青春像を描きだした『帰らざる夏』(講談社文芸文庫、93年)で谷崎潤一郎賞受賞。精神科医としての立場を生かした作品が多い。『諸君!』(93年6月号)「死刑・復讐・国家」では野坂昭如氏と対談、「被害者の復讐としての死刑制度」を認める野坂に対し、死刑の残虐さ、無意味さを強調、一歩も引かない。罪の深さを思い知らせるのがほんとうなのに、犯人が改悛する前に殺すよりも、むしろ無期懲役となるような終身刑制度のほうが有効だという。

 著書は『脳死・尊厳死・人権』(潮出版社、91年)など。

(データ作成:1997年)