人名事典

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塩野七生

(しおの・ななみ)
 一九三七年東京都生れ。学習院大学哲学科卒。イタリアに留学。現在、ローマに在住。

 ルネサンス期、ローマ時代のイタリアを描きながら、イタリアという苛烈なレンズを通して、現代日本の脆弱さを写し出してみせる。イタリアおよび欧州中世に題材をとった歴史小説、歴史エッセイに新境地をひらく。現地にいて資料を調べ尽した内容の面白さもさりながら、骨格のしっかりした構成と、リズムのある文体の「ルネサンス講談」を愛するファンは多い。「歴史文化」のイメージしかなかった日本の読者を驚嘆させるに十分だった。

 ライフワークの『ローマ人の物語』に取り組む一方で、雑誌『Foresight』の連載「ローマの街角から」の硬派エッセイも魅力的である。

 著書『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』(新潮社、70年)、『男たちへ』(文藝春秋、89年)ほか。

(データ作成:1998年)