人名事典

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村上陽一郎

(むらかみ・よういちろう)
 一九三六年東京都生れ。東京大学教養学部卒。上智大助教授、東大助教授、同教授、同先端科学技術研究センター長を経て、国際基督教大学教授。

 西欧科学革命の哲学的基礎から日本近代科学、先端技術へと研究を発展。独自の視点から科学史、科学哲学にアプローチする。その素地から展開した一つが「グローバル・ハウスキーピング」(地球家政学)の提唱。実際の家庭をモデルにして、個々の利害調整のなかから全体をまとめる手法。背景にある「必ずしも解は一つではない」という独自の発想は、唯一解を求める西欧流近代科学ではまかなえない複雑な時代を先取りした考えともいえる。政治、経済、社会にまたがる環境問題はまさに典型。史家でありながら同時代的問題の本質を巧みにえぐる。

(データ作成:1998年)