人名事典

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松本 元

(まつもと・げん)
 一九四○年東京都生れ。東京大学理学部卒。同大助手を経て、通産省・工業技術院電子技術総合研究所へ。同超分子部長などを歴任し、同首席研究官。

 日本の「脳型コンピュータ」開発の旗振り役。脳は自分でアルゴリズムをつくっていくが、コンピュータにはない。この観点から脳が得意とするパターン認識などの情報処理能力を備える脳型コンピュータ開発が専門。コンピュータにつきまとう「かたさ」の壁を打破し、「柔らかい対応のできる脳以上の性能をもつ」システムの開発だ。ヤリイカの神経細胞からはじまった研究は、世界で初の大規模な神経回路シミュレーターの開発にまでこぎつけた。「愛が脳を活性化する」との氏の仮説は、脳神経細胞の研究とともに人間とは何かとの哲学的なテーマに行き着く。物理学者が陥りやすい「モノ」の技術革新にとどまらず、「心」を失わない開発戦略に持ち味がある。

(データ作成:1997年)