人名事典

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柳田邦男

(やなぎだ・くにお)
 一九三六年栃木県生れ。東京大学経済学部卒。NHK社会部記者、同解説委員を経て、現在に至る。

 「人間の生と死」を追究。「穏やかな死」がないがしろにされがちな日本の現代医療を「医学の奢りが生んだ過剰治療への信仰」と批判。その背景には科学主義と技術支配による患者不在の現状を憂う思いが強くにじむ。死の在り方を左右する末期治療は本人のみならず遺族にも重大な影響をもたらすとも指摘。二十五歳で亡くなった次男についての手記『犠牲 わが息子・脳死の11日』(文藝春秋、95年)は、自己再生のステップとなった。

 著書に大宅壮一ノンフィクション賞受賞の『マッハの恐怖』(新潮社、71年)、講談社ノンフィクション賞受賞の『ガン回廊の朝』(講談社、79年)。

(データ作成:1996年)