人名事典

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猪口 孝

(いのぐち・たかし)
 一九四四年新潟県生れ。東京大学教養学部卒。マサチューセッツ工科大学大学院政治学専攻博士課程修了。東京大学東洋文化研究所助教授を経て東京大学東洋文化研究所教授。国連大学上級副学長も務める。

 日本の政治経済システムを実証的なデータで検証・分析し、世界共同体の利益となるような役割を担うことを主張する。『現代日本外交』(93年)では、日本が安全保障の役割を引き受けることに躊躇する理由について「反戦運動国」と断定、「戦争が起こりそうな状況を回避すれば、国内に平和が行き渡るはずと思い込む」傾向を論じ、経済的成功によってそれに拍車がかかったとした。ただし、だからそんな国をグローバルな責任をとらせる方向に性急に押しやることには賛成できないという結論には意表を衝かれた。

 著書『現代日本外交』(筑摩書房、93年)、『現代日本政治経済の構図』(東洋経済新報社、83年)。

(データ作成:1997年)