【松下幸之助の経営問答】

第6回 組織の発展とリーダーシップ
数々の講演後に受けた質問に対して、松下幸之助が真摯に答えた貴重な問答の記録。経営者たちの切実な悩みに、松下が経営の真髄を語りかける。今回の質問は「組織の発展とリーダーシップ」について。社員が増えて率先垂範では限界が出てきたという社長の悩みに、松下が諭した心構えとは?


【特別インタビュー】

父・松下幸之助の素顔
松下幸子
松下幸之助・むめの夫妻の一人娘幸子氏へのインタビュー。だれよりも松下幸之助の真実を知っている氏が、家庭人としての父親ぶりや松下家のこと、松下からもれ聞いた初期松下電器の様子や、娘だからこそ理解するその生活感や運命観を語る。


【特集】

創業理念を継承する
(CLASS1) INTERVIEW
生き続ける「ヤマトは我なり」のDNA
――“現場重視”が自然な伝播・浸透を後押しする
瀬戸 薫(ヤマトホールディングス会長)
昨年の大震災直後に、各被災地で無償で働いたクロネコヤマトの社員たちの姿が話題になった。彼らを自主的な活動へと動かしたのは、創業者小倉康臣氏、二代目昌男氏以来、脈々と受け継がれる「ヤマトは我なり」のDNAだった――。毎週全国の配送センターで「朝の現場指導」を続けるグループ会長が、社風と理念継承の仕組みの一端を語った。

(CLASS2) REPORT
グローバル企業だからこそアイデンティティを堅固に
――三井物産が全世界の社員に語り伝える創業の精神

加賀谷貢樹(ジャーナリスト)
「人の三井」とよばれてきた三井物産が近年、従来のOJTによる教育にとどまらず、三井家の教えや創業者の益田孝の哲学を見直す教育研修にも力を入れている。ハーバード・ビジネス・スクールも協力している同社の人材教育を徹底リポート。

(CLASS3) INTERVIEW
蓬莱創業者・羅邦強の思いを今に伝える
――2代の社長に仕える補佐役として

田中一昭(蓬莱常務)
大阪土産の定番「551の豚まん」で有名な蓬莱。創業者・羅邦強と現社長辰雄氏に仕え、同社のCMタレントとしても知られる名物常務が、品質にこだわり、社員を大切にする同社の社風や、あえて関東進出をしない創業者以来の経営戦略の真意を熱弁。

(CLASS4) INTERVIEW
「愛情・技術・信頼」を護り続けた120年
――名は体を表す老舗企業の行き方

宮田 玲(渡辺護三堂社長)
大阪に本社を置く製版とデザインの会社、渡辺護三堂の社名には、明治23年の創業以来、一貫して伝えられ、実践の努力が続けられる精神が宿る。中途退社する社員がほとんどいないというこの老舗が大切にする創業精神とは何か、五代目社長が語る。

(CLASS5) PHILOSOPHY
松下幸之助はみずからの理念をいかに伝えようとしていたのか
渡邊祐介(PHP研究所 松下理念研究部長)
創業者とは経営理念の最高の語り部であるはず。若き松下幸之助を事例として、その創業期から、みずから打ち立てた経営理念の浸透について、松下がいかに語り、いかに伝えようと心を砕いたか、努力のあとをふりかえる。

(CLASS6) ESSAY
高橋荒太郎 松下精神の“伝道師”
川上恒雄(PHP研究所 松下理念研究部主席研究員)
松下幸之助の重視した「経営の基本方針」について語るのが口癖で、“ミスター経営理念”とよばれた高橋荒太郎。松下電器の国内関連会社のみならず海外法人までその「経営の基本方針」を根付かせようと努力した人物の“伝道師”ぶりを描く。

(CLASS7) ESSAY
精神財として腹の底に落としこめ
――人類学から考える理念継承のヒント

住原則也(天理大学国際学部教授)
そもそも人間は、いかにして先達の思いや考え方を受け止め、それを行動に結びつけていくのだろうか。企業理念研究の第一人者が、人類学の観点から、創業理念が経営者や従業員に浸透していくメカニズムに迫った。


【松下幸之助経営塾】

[講義再録]
松下幸之助に叱られて経営を学ぶ
小川守正(パナソニック客員)
戦後勤務先の会社が倒産し、昭和30年に30歳を過ぎてから松下電器に入社。以来、電子レンジの研究開発者あるいは関連会社の社長として、たびたび接することのあった松下幸之助の厳しくも温かい人間像を、ユーモアあふれるエピソードで語る。


【松下幸之助経営塾】

[理念継承]
わが社の場合1
神吉一寿さん 吉寿屋 専務
業界一の利益率を誇る「お菓子のデパートよしや」。早朝出勤、トイレ掃除、社員への利益還元など、他社の追随を許さない発想と経営努力で注目を集めている。長年、偉大な創業者である父・会長、叔父・社長の背中を見て経営を学び、次代を担う専務が社業継承にかける思いを語る。


【松下幸之助経営塾】

[オピニオン]
グローバル時代の人材育成
――公の精神を育む「人間教育」で、日本企業の復活を

的場正晃(PHP研究所 教育研修部主幹講師)
金融資本主義がもたらした弊害は、短期的な目先の利益に傾き、企業の公器性を損なうことだった! 今あらためて「公」を重視した日本的経営を見直し、長期的な観点から人間教育を行うべきではないか。研修プロデューサーが喫緊の人材育成の問題点を指摘する。


【シリーズ企画】

パナソニック史にみる海外事業経営の極意
水道哲学を「バナナ哲学」として国民の繁栄を追求
〈インドネシア〉

木下 一(日本・インドネシア経済協会会長)
華僑が経済を支配するインドネシアで、なぜ松下電器はあえてインドネシア人ゴーベル氏の経営する企業と合弁会社を設立したのか。ゴーベル氏とともにその合弁会社の設立・発展に尽力した当事者が、インドネシアで経験した苦労と喜びを赤裸々に証言する。


【シリーズ企画】

一人一業・私の生き方
忍術の修行と研究に生涯を捧げる
――戦国時代から伝わる「忍」の技と知識を受け継いだ現代の忍者

川上仁一さん 三重大学社会連携研究センター特任教授・甲賀流伴党21代宗師家
少年のころ、長年にわたって村に行商に来ていた老人から手ほどきを受けたものとは、正統の甲賀流忍術だった! 会社勤めの社会人になってからも忍術修行と研究を重ねた川上さんは、いつしか忍術研究の第一人者として知られ、今秋なんと大学でも講義に立つことになった。奇縁がもたらした人生を語る。


【好評連載】

朝倉千恵子の上司学 仕事ができて愛される《人財》の育て方
第7回 覚悟はあるか
朝倉千恵子(新規開拓社長)
部下に仕事を任せるときの上司の覚悟、任せられた部下が自覚すべき覚悟、ビジネスマンの言葉の端々に見え隠れしてしまう覚悟の度合い……。人は、“できていないこと”を評価しないのではなく、“覚悟がないこと”を評価しない――。さあ、あなたは?


【好評連載】

鍵山秀三郎の「ビジネス幸福論」
その5 才能を見つけるために必要なこと
鍵山秀三郎(「日本を美しくする会」相談役)
成功を収めるには、「なんだそんなことか」と思えるような些細なことをおろそかにせず、真剣に取り組むことが肝要だ。情報が先立ち、成功や結果をすぐに求めたがる時代に、本当の成功とは何か、本当の努力の価値を問う。


【好評連載】

輝く! 町工場の底力
第7回 日本で最も輝く起業家の街・浜松
橋本久義(政策研究大学院大学特任教授)
浜松が生み出した世界的企業といえば、楽器メーカーのヤマハ、自動車メーカーのホンダ、光電子倍増管の浜松ホトニクスなどが有名だが、ほかにも規模は中小といえども元気に輝く中小企業がたくさんあるのをご存じだろうか!? 特色ある企業を橋本教授がレポートする!


【好評連載】

老舗に学ぶ永続繁盛の秘訣
第7回 長寿には、女将(おかみ)経営のおすすめ!
前川洋一郎(老舗学研究会代表、大阪商業大学大学院特別教授)
老舗の経営を見るに、特筆すべきなのは俗に言う「女将」「奥様」「お家さん」と呼ばれる女性管理者の存在だ。それは時に社長たる主人以上の存在価値がある。近世近代からあった女将経営の歴史と、現代でも活躍する女将の活躍に、長寿経営のヒントを探る。


【好評連載】

小林一三 時代の十歩先が見えた男
第7回 岩下の挫折を越えて
北 康利(作家)
宝塚新温泉の開場が乗客の増加をもたらし、小林一三の経営はようやく軌道に乗り始めた。しかし、ここで恩人の岩下清周に奇禍が起こる。経営する大阪電気軌道の生駒トンネルでの死亡事故が糾弾され、それがきっかけになり北浜銀行頭取辞任にまで追い込まれたのだ。岩下の凋落から一三は、「無理をしない」ことの大切さを学んだ。


【好評連載】

感動と発見!「パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館」物語
story6 自転車が商売の原点 「電気」と結びつけた先見性
松下幸之助は少年時代、大阪・船場の自転車店で商売を学んだ。電気にかかわる事業で成功してからも、自転車への思いは変わらず強く、電気と自転車との融合をめざした。この思いが、現在の「電動アシスト自転車」へとつながっていく。