【松下幸之助の経営問答】

第7回 経営者の資質・条件
数々の講演後に受けた質問に対して、松下幸之助が真摯に答えた貴重な問答の記録。経営者たちの切実な悩みに、松下が経営の真髄を語りかける。今回の質問は「経営者の資質・条件」について。自分は経営者の資質に欠けているという社長の悩みに、松下が諭した心構えとは?


【特集】

リーダーの自己観照
《経営者たちの実践1》
松下幸之助が心がけた 素直な心で自己観照
自分の心をいったん外に出し、その出した心で自分を見直してみる――。これが、松下幸之助の実践した自己観照。しかし、客観的に自分を観察することはむずかしい。それでも、経営者あるいは各界のリーダーであるならば、自己観照は不可欠であるという。

《経営者たちの実践2》
人と文化と古典との出会いが気づきをもたらす
――対話がもたらす自分への「観照」

小林陽太郎(日本アスペン研究所理事長)
早くから富士ゼロックスのみならず、財界の指導者としてリーダーシップを嘱望され、その任を全うしてきた小林陽太郎氏が、長年の経験からの自己修養、そして現在取り組んでいる、古典との対話を通じて自己の成長を期す「日本アスペン研究所」の活動についての思いを語る。

《経営者たちの実践3》
社長は「時代観」構築が仕事
――松井流は「たわ言」からすべてが始まる

松井道夫(松井証券社長)
朝、風呂に入りながら考える。プールで泳ぎながら考える。社長室で考える。帰宅後も、寝る直前まで考え続ける。証券業界に革命を起こした「兜町の異端児」は、実は静かにひたすら考える「瞑想する社長」だった――。そんな松井社長の「頭の習慣」を探る。

《経営者たちの実践4》
内観で自己省察 社員教育に活用
――「行動力研修」との組み合わせで効果も

松井利夫氏(アルプス技研創業者・最高顧問)が体得した心の統制法
4畳半ひと間から事業を起こし、今や従業員2千名を超えるアルプス技研グループを築き上げた松井利夫氏。30年ほど前、経営者として行き詰まったときに出会ったのが内観(「内観」については、本特集・長島美稚子氏へのインタビューに詳述)。以来、その魅力に惹かれ、自分のみならず、社員の人間性向上にも役立てているという。

《経営者たちの実践5》
スティーブ・ジョブズ LSD、果食主義、禅
――iPhoneのシンプルな美は生き方そのものだった

川上恒雄(PHP研究所 主席研究員)
携帯音楽プレーヤー「iPod」、スマートフォン「iPhone」、タブレット端末「iPad」の大ヒットによりアップルの繁栄をもたらした故スティーブ・ジョブズ。その卓越した創造性と美的感覚を育んだとされる、若き日の自己探求の内実と背景に迫る。

《自己観照へのアプローチ1》
中村天風 自己を見つめる哲学
――「我とは何ぞや」無念無想の境地を感得する

尾身幸次(公益財団法人天風会理事長)
軍事探偵として波瀾万丈の人生を歩みながら、真摯に修行を重ねて大悟した大哲人・中村天風。人間として生を享けた自分を最大限に活かすことに人生の意義があると訴えた天風について、その人となりと、自分を見つめるための手法である心身統一法の極意を、愛弟子が解説。

《自己観照へのアプローチ2》
「技」としての自己観照
――デカルト、世阿弥、武蔵に学ぶ

齋藤 孝(明治大学文学部教授)
自己観照の考え方や手法は、歴史上の人物からも学ぶことができる。ここでは、碩学・齋藤孝氏が、和洋の哲人の著作を通して、彼らの生き方、己を見つめるまなざしと手法、それらをみずからの体にいかにして「技」として定着させたかをあぶり出す。

《自己観照へのアプローチ3》
1週間でどこまで人間は変われるか
――内観法創始者・吉本伊信の試みとビジネス研修への応用

長島美稚子(北陸内観研修所所長)
自分の内面を調べて、みずからを知る手法――内観法は、創始者・吉本伊信の信仰的努力に端を発した、近年評価も高い心理療法だ。そして今、従来のメンタルヘルスのためのみならず、経営者の自己啓発やビジネス研修にと応用が広がってきている。吉本伊信氏の直弟子が内観の現状と効果を語る。

《自己観照へのアプローチ4》
「欲望」をいかにして削ぎ落とすか
玄侑宗久(作家、福聚寺住職)
日本人は古来、自己観照に相通じる感覚を身につけ、そうした生き方をしてきた――。禅僧として、作家として、そして「東日本大震災復興構想会議」のメンバーとして、数多くのリーダーを含む幅広い交友を持つ玄侑氏の深い人生経験から見えてくる「自己観照の要諦」とは。


【松下幸之助経営塾】

[講義再録]
社会的企業には徳がある
――ネット時代の経営のあり方

北尾吉孝(SBIホールディングス社長)
ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏に請われて大手証券会社から転職した際55名の部下がついてきたり、個性の強い孫氏から「北やんの言うことは正しい」と信頼される北尾氏。得意の中国古典に触れつつ、経営の倫理と勘所を熱く語る。


【松下幸之助経営塾】

[理念継承]
わが社の場合2
第一成和事務所  代表取締役八代元行さん  専務取締役千葉雅史さん
規制緩和・金融自由化が進むなか、保険代理業界の社会的存在意義が不明瞭なのではないかと長年、問題意識を持ち続け、ついに業界に先んじて「クレド(信条)」をつくった八代元行さん。後継者である千葉雅史さんとともに経営理念の意義と継承について語っていただいた。


[新連載]

現代に生きる中国古典
No.1 序 豊饒な中国古典をめぐる旅へ
守屋 淳(中国古典文学者)
中国古典は今を生きる私たちに普遍的な知恵を授けてくれる! しかし、時代状況や前提を理解しておかなければ、矛盾ととらえたり、古いと勘違いしたりしてしまう。『論語』『孫子』はじめさまざまな古典を万人のための帝王学として分かりやすく解説する。


【好評連載】

鍵山秀三郎の「ビジネス幸福論」
その6 分を知り、本当の価値を求めよう
鍵山秀三郎(「日本を美しくする会」相談役)
成功することそのものを目標にしてはならない。成功することこそ危険である。数々の人生の変転を見てきた筆者が、本当に知っておくべきことは時代の風やお客様の心であると説く。自分の分を守ることの大切さを諭してくれる。


【好評連載】

朝倉千恵子の上司学 仕事ができて愛される《人財》の育て方
第8回 どこまで部下を思い、愛していますか?
朝倉千恵子(新規開拓社長)
「部下の一人が会社を辞めたいと言ってきたとき、私は頭がおかしくなってしまうんじゃないかと思うほどのショックを受けたのです。彼氏を失うよりもショック……」。経営者にとっての部下は子どもと同じという朝倉氏の、愛と、その裏返しとしての厳しさあふれるエッセイ。


【好評連載】

輝く! 町工場の底力
第8回 大活躍! ものづくりなでしこJAPAN
橋本久義(政策研究大学院大学名誉教授・客員教授)
「ものづくりなでしこJAPAN」とは、経済産業省の女性官僚が旗振り役となって始まった、町工場の女性経営者の集まりである。女性らしさを生かし、あるいは女性としてのハンデを逆手に取って奮闘する美しく強い経営者たちの姿をレポート。


【好評連載】

老舗に学ぶ永続繁盛の秘訣
第8回 長寿には、大店(おおだな)経営のおすすめ
前川洋一郎(老舗学研究会代表、大阪商業大学大学院特別教授)
老舗の経営を見るに、限りなく成長し続けることは可能なのだろうか。近江商人の出自を誇る伊藤忠商事と老舗百貨店J・フロントリテイリングの、総合的にして巧みな組織の舵取りを考察。合従連衡、大再編時代の生き残り策とは何かを探る。


【好評連載】

小林一三 時代の十歩先が見えた男
第8回 神戸線開設と阪急の大いなる飛躍
北 康利(作家)
街づくりをしながら神戸線の開通に邁進する一三。しかし、沿線在住の財界人の路線変更というクレームに遭うなど、そこには困難が伴った。それにもめげず、箕有電気軌道を阪神急行電鉄と社名変更し、資本家の仲間入りをして一三は攻めの経営を展開していく。


【好評連載】

感動と発見!「パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館」物語
story7 松下正治名誉会長 追悼展 「パナソニックとともに72年」
2012年7月16日、パナソニックの松下正治名誉会長が99歳の生涯を閉じた。生前は松下幸之助のあとを受け、同社の発展に大きく貢献した。松下幸之助歴史館ではその功績と人柄を偲び、「松下正治名誉会長 追悼展」(2012年10月31日まで)を開催している。


【シリーズ企画】

パナソニック史にみる海外事業経営の極意
「現地のための事業」を貫き、産業の発展に貢献
〈中国〉

青木俊一郎(一般社団法人日中経済貿易センター代表理事)
「本社を見るな。中国だけを見て、中国のためになる事業に徹せよ」。中国のための事業としてスタートさせた北京・松下彩色顕像管有限公司。日本人スタッフと中国人スタッフとのあいだに強いきずなを結びつつ、同社を牽引した当事者が語る。


【シリーズ企画】

一人一業・私の生き方
ガンと向き合える幸せな生き方を求めて
織田英嗣さん ふれあい体験ファーム「めぐみ農場」代表
仕事のストレスでうつ病、そして食道ガン――。元ボクサーの強い精神力で厳しいリハビリを乗り越え、ガンで苦しむ人のために活動も始めたが、患者の声を聞くにつれ、実は善意のつもりでしていた活動が必ずしも患者のためになっていないことに気づく。