ちょっと見!特集

特集インタビュー 

「だからこうしなきゃ」なんてつまらないじゃない?

女優・桃井かおりさん
取材・文/松田亜子


「実は、レモンスカッシュとか好きなわけ。意外でしょ(笑)」
 そう言って、冷たいグラスにレモンをぎゅっと絞った。
 どちらかといえば、“昼下がりのシャンパン”。そんな勝手なイメージからすれば、確かに少し意外。そんな桃井さんにも悩み、もがいていた時期があったこと――も、意外だった。

「自信のなさ」にもがいた20代

 19歳で女優デビューして以降、またたく間に人気女優になった桃井さん。独特のアンニュイな雰囲気、自由気ままで自然体の生き方は圧倒的な存在感をはなち、いつだって、「私は私」という自信に満ちているように見えた。
 行き詰まりを感じ始めたのは20代も半ばにさしかかった頃(ころ)。毎日出会う人、新しい役。すべてが刺激的なはずなのに、違和感だけが膨らんでいったという。
 「“あれ、これはこないだと衣装を変えているだけじゃない?”と思うことが多くなったんです。同じことを2度やっている自分に気づいた。つまり、守りに入った形で“桃井かおり”を続けていたのね。まさに、怠慢。それに気づいて行き詰まってしまったの」
 絶え間ない出演依頼の中で、仕事を「こなしていく」のが精一杯。余裕がなかったこともある。でも、行き詰まりの1番の理由は、「自分への自信のなさ」でもあった。自分がどういう人間かも分からないから、自分をどう出せばいいのか分からない。
テレビの生放送に出演するときは、吐きそうなほど緊張した。
「早く何者かになりたかったのに、自分には何もないから、何者かであるようにどんどん武装していました。それは自分にも周りにも嘘(うそ)をついていること。だから、相当きついことになっていたのね」
 見せかけの自信、虚勢をはった自分。その本質はすぐに見抜かれ、鼻っ柱を折られるたびに落ち込んだ。これ以上、この状況を続けられない。
 30歳になった桃井さんは、手にした人気もキャリアもすべておいて、アメリカへ渡った。ニューヨークで美術学校に通いながら、1人の女性として、生き生きと日常生活を楽しんだ。

【つづきは『PHPスペシャル』7月号誌面でお読みください】

◇離れて見えるものがある――元カレと同じ!

◇逃げなければ、重荷がなくなる

◇自分にがっかりしたくないから

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