ちょっと見!特集

<特集インタビュー>

誰にも「間違いの道」なんてない

歌舞伎役者 六代目 片岡愛之助さん
取材・文/岡﨑 香



「運がいい、悪いやなくて、僕は『運が強い』と思います」。
柔らかな関西弁が印象的な上方歌舞伎のホープ。
強運の秘密は、全てを受け入れる強さにありました。

運が強いか、弱いか? と聞かれたら、おそらく僕は強いほうだと思います。そもそも普通の家に生まれた僕が、こうして歌舞伎の世界で生きていること自体、運の力のような気がしているので。
 僕の実家は、祖父の代から続く船のスクリューを作る会社で、家も工場と同じ敷地内にありました。ダンプカーが出入りして危ないので、外で遊ばせてもらえなかった僕を見かねて、父がたまたま新聞で見つけた松竹芸能の子役募集に応募したのが、テレビや舞台に子役で出ることになったきっかけです。僕はたぶん人生の大きな運を、まずここで使ったんでしょうね。そのオーディションに落ちていたら、今の僕はないでしょうから。
 そのうち歌舞伎の舞台にも出していただくようになったんですが、子ども心にも、歌舞伎は面白い世界だなぁと感じました。衣裳や道具の色使いが、テレビや普通の舞台と全然違うし、何より不思議だったのが女形。おじさんやお兄さんが急にきれいな女の人に変身したと思ったら、しゃべると男の声なんですよ。最初はもう衝撃でしたね(笑)。
 そんなふうに僕自身は楽しんでいたんですが、歌舞伎の公演は1カ月お休みがないので、小学校の勉強がわからなくなる。それで、もう辞めようかなと思い始めた頃に、今の父・片岡秀太郎に声を掛けられて、十三代目片岡仁左衛門の部屋子の一人にしていただきました。本来なら、親の会社を継いだはずの僕が、子役が大勢いる中で声を掛けられ、この世界に入れてもらえたわけですから、これも大きな運の力だろうなと思います。

【つづきは『PHPスペシャル』2月号誌面でお読みください】

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