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幡野広志さんトークイベント~『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』刊行記念

『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』の刊行を記念して、幡野広志さんによるトークイベントが、2018年8月28日、代官山蔦屋書店で開催されました。

幡野広志、鈴木心

カメラマン、猟師、35歳、がん、余命3年宣告を受ける、息子はまだ2歳。
父として男として息子に伝えたい言葉は、多くの人の心に刺さる。

本書『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』は幡野さんにとって初めての著書です。

2017年12月に末期ガンであることをブログで公表した幡野広志さん。

なぜ、この本は生まれたのか。

“ウェブという「モノのかたちをしていない言葉」と同じくらい強い、本という「モノのかたちをした言葉」をつくりたいという願い”

本書の「はじめに」で、幡野さんはそう綴っています。

今回のトークのお相手は同じ写真家で友人の鈴木心さん。

タイトルのこと、写真のこと、家族のこと、なぜ自分が注目されたのか――ウェブとは異なる「体験=LIVE」となったトークイベントから、その一部をご紹介しましょう。
 

とても、「写真家」らしい選択。

幡野:今回の書籍には1枚だけ写真を使ったんです。 なぜこの写真を選んだのか、その理由は明確にあるんです。写真家の書籍で1枚だけ選んで載せたのがコレっていうね。なぜなのか……。

鈴木:それ、言わないほうがいいよ(笑)。たとえば、いい映画って「投げかける」ものだと思うんだよね。そこに観た人がストーリーを解釈する余地が生まれるのが、いい映画だと思うんです。それで言うと、ここは読み手のみなさんに託し、考えてもらうのがいいのかなって。

幡野:それは確かにそうなんですよね。やっぱり言うのはやめておきます(笑)。でも、この写真は本当にこだわって入れました。表紙や、本文内に写真を入れたいという意見も出版社からはありましたが、ぼくは1枚でいきたかった。入れる場所も本の最後にして。この本のデザイナーの有山達也さんも援護射撃してくれて、実現したのですが、ほんとうにありがたいことです。

鈴木:写真家が息子に残す書籍の写真、でもそこに息子そのものは写っていない。これはとても「写真家」らしい、幡野らしい選択だなと思っていて。それがどういう意味なのか、ぜひ想像しながら見ていただければ。それこそが、「写真の面白さ」だと思うんです。
 

(スクリーンに実際に写真を映しながら)鈴木さんが写真家の視点で解説してくださいました。

「この写真は入れ子構造になっていて、外の空間、内側の世界、それを繋ぐ世界、それぞれが主題になったストーリーがある。それらを単独で使うこともできるけど、あえてそうしなかったことが、この写真1枚に絞った理由を読み解くヒントになるのではないかと思います」

この写真は、ぜひ書籍、電子書籍で直接ご覧になってみてください。
 

なぜ、ここまで注目されたのか

幡野さんは言います。

「ガンになる人は年間100万人、亡くなる人は37万人。交通事故で亡くなる人は4,000人。ぼくは何も珍しい人じゃない」 そんな“フツー”の幡野さんはnoteに4,400、twitterは29,000のフォロワー、「質問箱」には多くの相談が寄せられます。

なぜ注目されるのか?

糸井重里さんはこのようにおっしゃったそうです。

 「幡野さんはガンになってからそうなったわけじゃなくて、ガンになる前から変わってないんですよね」

ガンになってから聖人君子のようになっても、いまのネット社会ではすぐにバレるし、ボロは出る。
「これまでの積み重ねなのかな」と、少し照れたように話す幡野さんがとても印象的でした。

 

写真で届ける、言葉で伝える

鈴木:写真家って、言葉で伝えるのはナンセンスって言う人もいる。ぼくも以前はそうだったけど、幡野をきっかけに書くようになった。よく質問されると思うんだけど、「写真と文章の違いはなんですか?」って聞かれたらなんて答える?

幡野:写真だけじゃ伝わらない、言葉にしないと絶対に伝わらない部分ってあると思う。今回載せたの1枚の写真も(あえて、考えてもらえればと思いますが)写真だけで何人の人が真意をわかるかというと、ほとんど伝わらないと思う。写真だけで伝わると思ったら大間違いで、言葉ひとつで写真の見方、捉え方は変わってしまう。言葉はそれだけ大切だと思っています。
 

満員の70名のお客様とともに、2時間近くの長丁場を、駆け抜けた幡野さんと鈴木さん。
トークイベント後には、全員へのサイン(とイラスト)も!
鈴木さんのお客様への一問一答から、その方に合った言葉をおなじみのイラストとともに添えられた幡野さん。
ちなみに、クマ!? と思われることもあるというこのイラスト、幡野さんがお好きなネコです。

 

幡野広志さんが好きなねこのイラスト

 

写真家として、写真で表現をしてきた幡野広志さん。
今回のイベントを通して感じたのは、改めて1枚の写真の中にはひとりの写真家の考え・想いが幾層にも重なりあって詰まっていること、『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』という作品、言葉、選びぬいた1枚の写真、すべての物事に理由はあるということ。幡野さんと鈴木さんから宿題をもらったような濃密な2時間となりました。

会場に来てくださったみなさんも、どこかで偶然この本に出合ったあなたも……きっと、何度もこの本をひらくことになるのではないでしょうか。

幡野広志さんと最愛の息子

幡野 広志(はたの・ひろし)

1983年 東京生まれ。
2004年 日本写真芸術専門学校中退。
2010年 広告写真家 高崎勉氏に師事。「海上遺跡」Nikon Juna21受賞。
2011年 独立、結婚。
2012年 エプソンフォトグランプリ入賞。狩猟免許取得。
2016年 息子誕生。
2017年 多発性骨髄腫を発病。
 

鈴木 心(すずき・しん)

「写真であそぶ、写真でまなぶ」をテーマに、写真を用いた企画、ブランディング、広告雑誌撮影、記念写真館、共育、出版活動をおこなっている。1980年福島県生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。金沢大学非常勤講師。一応、写真家。

 

『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』発売中

著者 幡野広志著 《カメラマン、猟師》
本体価格 1,400円
限られた未来を父は息子の限りないいのちにつなぐ――谷川俊太郎氏推薦

 

kぼくが子どもの頃ほしかった親になる


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