3つのポイント理解!

松下幸之助の代表的著作の一つ『実践経営哲学』から、松下が重んじた経営の心得を学んでいきましょう。 第4回のテーマは、必ず成功すると考えること。


事業がうまくいかないと、「不景気だから仕方ない」「政府の政策が悪い」などと、原因を他に求めがちなもの。しかし松下幸之助は、経営は必ず成功するものだという信念に立とうと訴えています。

ポイント1

企業の業績は景気や運によって左右されるのが現実だという見方がありますが、経営は本来いかなるときでもうまくいくものであると考えるべきです。

 昔から「勝敗は時の運」とか「勝敗は兵家の常」というような言葉があって、戦(いくさ)では勝つこともあれば、負けることもあるのが普通の姿だと考えられていたようである。

 そして経営についても同じように、うまくいったり、いかなかったりというか、利益があがるときもあれば、損をするときもあって、それが普通なのだとする見方もある。確かに企業経営には、景気不景気といったこともついてまわるし、また運というようなものも一面に考えられるから、そうしたものによって業績が左右され、利益があがったり損をしたりという姿をくり返すことは現実に見られる姿である。

 しかし私は、基本的には企業経営はそのように外部の情勢に左右されて、うまくいったり、いかなかったりするものではなく、本来はいかなるときでもうまくいく、いわば百戦して百勝というように考えなければならないと思う。

ポイント2

成功の原因は自分でなく運にあり、逆に失敗の原因は運でなく自分にあると考えればおのずと失敗が減り、どんな状況下でも経営が順調にいくようになります。

 私自身の経営については、このように考えてやってきた。すなわち物事がうまくいったときは“これは運がよかったのだ”と考え、うまくいかなかったときは“その原因は自分にある”と考えるようにしてきた。つまり、成功は運のせいだが、失敗は自分のせいだということである。

 物事がうまくいったときに、それを自分の力でやったのだと考えると、そこにおごりや油断が生じて、つぎに失敗を招きやすい。(中略)反対に、うまくいかなかったときに、それを運のせいにして“運が悪かった”ということになれば、その失敗の経験が生きてこない。自分のやり方に過ちがあったと考えると(中略)、それだけ失敗も少なくなって、どういう状況下にあっても経営が順調にいくという姿になってくるわけである。

ポイント3

日ごろから自社の経営を厳しく吟味し、当を得たやり方を求めている企業は、景気不景気にかかわらず、隆々と発展していくでしょう。

 不況だから利益があがらなくても仕方がない、というのも一つの見方である。しかし、現実に不景気の中でも利益をあげ、業績を伸ばしている企業があるということは、やはりやり方次第だということではないだろうか。(中略)経営のやり方というものは、いわば無限にある。そのやり方に当を得れば必ず成功する。だから、不景気であろうと何であろうと、必ず道はあるという考えに立って、それを求めていけば、やはりそれなりの成果はあがるものである。(中略)

 日ごろから、“失敗の原因はわれにあり”という考えに徹して、みずからの経営を厳しく吟味しつつ、なすべきをなしていくことが大切である。そういうことをしている企業は、戦争とか大きな天変地異でもないかぎり、どんな状況にあっても隆々と発展して、その使命、社会的責任を果たしていくであろう。

不景気であっても、業績を伸ばしている企業はあります。打開策は必ずあるという前向きな気持ちで、自身の経営を見直す心がけが大切ですね。

 


松下幸之助とPHP研究所

PHP研究所は、パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助が昭和21年に創設いたしました。 PHPとは、『Peace and Happiness through Prosperity』の頭文字で、「物心両面の調和ある豊かさによって平和と幸福をもたらそう」という意味です。

■月刊誌「PHP」

お互いが身も心も豊かになって、平和で幸福な生活を送るため、それぞれの"知恵や体験を寄せ合う場"として昭和22年から70余年にわたり発刊を続け、おかげさまで多くのご支持をいただいています。

 

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3つのポイントで理解!松下幸之助『実践経営哲学』に学ぶ  
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 (1)まず経営理念を確立すること  : 事業経営でいちばん大切な事とは...?

 (2)自然の理法に従うこと : 雨が降れば傘をさす...!?

 (3)利益は報酬であること  利益の確保は企業の社会的責任!