頁数/仕様
152ページ / 縦:18.8cm 横:11.6cm
初版
2012年11月
在庫
在庫あり

高校生で出会っておきたい73の言葉

スポーツ選手や探検家の言葉、小説のフレーズ、詩など、高校生の心に寄り添い、ときに励ます73の言葉。かけがえのないこの時に、出会ってほしい言葉があります。
著者(肩書)
主な著作 『中学生で出会っておきたい71の言葉』(PHP研究所)
編集等 覚和歌子《作詞家》
税込価格 1,320円   (本体価格:1,200円)
対象 高校生
頁数/仕様 152ページ / 縦:18.8cm 横:11.6cm
初版 2012年11月

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■「視界がひろがっていく快感」

これは、『中学生で出会っておきたい71の言葉』『高校生で出会っておきたい73の言葉』という2冊シリーズのうち、高校生に向けて書かれたものです。
大人でも子どもでもない高校時代は、精神的にも身体的にも非常に中途半端な時代です。若さが持つ不定形のエネルギーに翻弄されていることでは中学時代とそれほど変わりがありませんが、「社会」が中学時代よりも少しだけ近いところにあるせいで、将来に対する理由のない不安が具体的になってくるような気がします。
私の高校時代は、受験勉強そっちのけで部活と友だちづき合いに明け暮れた日々でした。生徒自治会が力を持っていたせいか文化祭などの学校行事が活発で、学生がそれに費やす時間と労力は半端ではなく、一年は毎年それこそまたたく間に過ぎていきました。それでも学区外の少し離れた町から通っていた私は、ひとりで過ごす通学時間を毎日まとまって取れることで、自分自身を取り戻していたような気がします。
表現の仕事につくことを決めていて、それを折にふれ口に出すことで自分をあともどりできなくするような、こと自己実現に関しては積極的な感覚を私は持っていました。だからといって夢の実現は確約されているわけではなく、両親の理解も得られることないまま人並みの不安にさいなまれていた当時、この本にあるような言葉たちに出会えたら、もう少し気持ちが楽になっていたかもしれないと思います。
言葉は、瞬間で胸にすとんとおさまるものと、聞いたそのときはわからないままなぜとはなしに気になって、あとあと腑に落ちるものとの2種類がありますが、後者のほうがより大切でしょう。不可解さを切り捨ててしまわずに問いかけとして持ち続けることで、理解できたそのときにとてつもなく深いよろこびをもたらしてくれるからです。そのよろこびは、視界が拡張して自由になっていくような快感とも言えるし、世界が深まって自分が練れていくような感動でもあります。
収録されている名言名文に、実はあまり有名なものは含まれていません。誰もが知っている金言の陰の、かくれた言葉のほうに作者の真実がひそんでいることがあります。そんなねらいが、通りいっぺんの名言本にはない味わいとなっていることを願っています。
中学生版と同様、この書籍は、とくに母親の紹介によって子どもたちの手に渡る場合がほとんどでしょう。成長途中であことは人間である限り大人たちも変わらないということを思えば、ここには大人にとっても気になる言葉があってほしいと思います。
子どもの心身の激しい変化に家族はとまどいがちな時期ですが、この本にある言葉たちが小さな端緒になって親子の会話がはじまったり、互いの理解がささやかでも深まったりしてくれればお届けできた甲斐があります。

・この気持ちはなんだろう
・そばにいるのに君が恋しい
・行列に並べずに少し歌ってた
・なみだのように笑いがこぼれたら
・命綱
・想像力をフルスロットルに
・「視界がひろがっていく快感」

《出典、参考文献》
■詩、短歌
『どきん』谷川俊太郎(理論社)
『菅原克己全詩集』菅原克己(西田書店)
『吉原幸子詩集』吉原幸子(思潮社)
『聖フランチェスコの鳥』田口犬男(思潮社)
『高村光太郎詩集』高村光太郎(岩波文庫)
『太陽のうた』小野十三郎(理論社)
『君がそばにいても 僕は君が恋しい』リュ・シファ/蓮池 薫訳(綜合社)
『新川和江詩集』新川和江(ハルキ文庫)

■小説、評論、エッセイ等
『風が強く吹いている』三浦しおん(新潮文庫)
『セナ』桜井淑敏(早川書房)
『思想家の自伝を読む』上野俊哉(平凡社新書)
『実験4号/後藤を待ちながら』伊坂幸太郎(講談社)
『ちくま日本文学008太宰 治』太宰 治(筑摩書房)
『旅をする木』星野道夫(文春文庫)
『友情』武者小路実篤(新潮文庫)
『望郷と海』石原吉郎(みすず書房)  ほか