黄蝶舞う
発売日
2009年12月16日
判 型
四六判上製
ISBN
978-4-569-77503-6

黄蝶舞う

著者 浅倉卓弥著 《作家》
主な著作 『四日間の奇蹟』『君の名残を』(以上宝島社)
税込価格 1,540円(本体価格1,400円)
内容 『四日間の奇蹟』の著者が、頼朝・頼家・実朝ら鎌倉将軍家三代の闇に材を得て放つ幻想歴史連作集。時代小説の新機軸に挑んだ好著。



 ミリオンセラー『四日間の奇蹟』と並称される著者の代表作『君の名残を(上・下)』。平安末の動乱期にタイムスリップした高校生男女2人を主人公とした本作以来、温めてきた歴史連作集がついに完成。鎌倉将軍家の死をめぐる幻想譚で構成された本書『黄蝶舞う』である。

 頼朝・頼家・実朝の三将軍をはじめ、源家の貴人たちの死は歴史の暗いベールに覆われている。著者は史実を丹念に踏まえながら、独自のミステリアスな物語世界を織り上げていく。

 北条政子と長女・大姫の真夏の光景を切り取った「空蝉」。頼朝の死をめぐる因縁を描く「されこうべ」。修禅寺物語に想を得た「双樹」。殺される側実朝と殺す側である頼家の遺児・公暁それぞれの生涯をたどる「黄蝶舞う」と「悲鬼の娘」の5編を収録。各々独立した作品として成立しながら相互が共鳴しあい、妖しき闇の世界を映す絢爛たる絵巻となった。

 本格的時代小説は初挑戦ながら、確かな筆致に支えらた傑作。