中国人はつらいよ――その悲惨と悦楽
発売日
2015年02月13日
判 型
新書判並製
ISBN
978-4-569-82346-1

中国人はつらいよ――その悲惨と悦楽
伝統から彼らの実像を知る

著者 大木康著 《東京大学東洋文化研究所教授》
主な著作 『現代語訳 史記』(ちくま新書)
税込価格 858円(本体価格780円)
内容 中国人は生きづらい。その反面、彼らは人生を愉しむ達人でもある――。中国人のタフさや洗練された享楽主義の根源を歴史的に辿る。



 中国の人々は総じて元気があり、暗い印象を与える人は少ない。そのメンタリティーの源はどこにあるのか?

 中国は決して生きやすい社会ではない。庶民は地方官の苛烈な徴税とでたらめな裁判に苦しみ、官僚だって一歩間違えれば悲惨な刑罰を受ける。さらに官僚になるのも一苦労、「科挙」では八股文という超絶技巧が求められる。

 一方で中国人は人生に愉しみを見出す達人でもある。最高の娯楽になりえる漢詩に耽溺し、美食や美女を優雅に愛で、静寂が支配する「庭園」に佇む。中国は伝統的に、生きるしんどさと遊びの哲学が同居する国なのである。現代でも、官僚は一歩道を踏み外せば奈落の底に突き落とされ、中国文学は「反政治」の様相を呈している(これに対して、日本文学は「非政治」的であるといえる)。

 象棋や麻雀などのゲームが好きで、文房四宝(硯紙筆墨)に凝る人も多い。本書はそのような、現在にも通じる中国社会、中国文化のさまざまな相貌について柔らかな筆致で解説する。