「哀しみ」を語りつぐ日本人
発売日
2003年07月25日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-62962-9

「哀しみ」を語りつぐ日本人

著者 山折哲雄著 《国際日本文化研究センター所長》
齋藤孝著
主な著作 悲しみの精神史』(PHP研究所)
税込価格 1,430円(本体価格1,300円)
内容 昔、「恋」は「孤悲」と書いた――そんなうんちくから日本的感情のルーツが見えてくる。日本文明論と日本語論の専門家が深く追究する。



 長崎での少年による殺人事件を見るまでもなく、ここ10年ほど、子どもたちによる「感情の感じられない」犯罪が目立って報道されるようになってきた。少年だけではない。大人も、すぐにキレ、人から注意されたらすぐに殴る事件が多発している。

 本書は、日本的感情とでも呼ぶべきものがいまどのように衰退しているか、そしてそれを取り戻すためにはどうすればいいのかについて考えた対論である。

 齋藤氏は、「喜怒哀楽」に替わる新たな感情の分類方法として、「感情の三原色」(哀しみ・憧れ・張り)という考え方を提唱する。また、山折氏は、さまざまな文学作品や歌などから、ことに日本的と考えられる「哀しみ」に焦点を当て、そうした感情は文化のなかで模倣し、学習されていくものであることを明らかにしている。

 「日本的感情のふるさと」を訪ねる作業を通じて、いま私たちが意識的に語りつぎ、受け継ぐべきことは何かが浮かび上がってくる一冊である。