雲は答えなかった
発売日
2014年03月03日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-76155-8

雲は答えなかった
高級官僚 その生と死

著者 是枝裕和著 《映画監督、テレビディレクター》
主な著作 『そして父になる』(宝島社)
税込価格 713円(本体価格648円)
内容 『そして父になる』で世界の「コレエダ」となった映画監督が、若き日のドキュメンタリーをもとに自ら筆をとった傑作ノンフィクション!



 『そして父になる』の是枝裕和監督、その原点となる傑作ノンフィクション!

 本書は、世界的に評価される是枝裕和監督自ら、“原点”と位置付ける記念碑的作品である。初のディレクター作品となったドキュメンタリー番組『しかし…福祉切り捨ての時代に』(1991年)の放送後、取材を重ねて29歳で執筆したノンフィクションで、題材はある高級官僚の生と死。水俣病訴訟を担当し、1990年に自ら命を絶った官僚・山内豊徳の歩みを丹念に辿り、「人はいかに時代と向き合うべきか」を問うた普遍的な作品となっている。映画作家・想田和弘監督はこう評す。

 “読後感は、上質な小説か劇映画のそれに似ていて、(中略)是枝の手による「山内豊徳」像は、フィクションとノンフィクションの区別を越えた「表現」に昇華されている”

 刊行から22年――。是枝監督の“原点”はいま、何を問いかけるのか。

 本書は1992年刊行の『しかし…』を改題し、2001年刊行の『官僚はなぜ死を選んだのか』をもとに加筆・修正したもので、今回の出版に際しては、是枝監督による「刊行にあたって」、想田和弘監督による「解説」を新たに収録。すでに読まれた方にも、再読を勧めたい。