[新装版]日本人はなぜ水に流したがるのか
発売日
2015年02月02日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-76312-5

[新装版]日本人はなぜ水に流したがるのか

著者 樋口清之著 《國學院大學名誉教授》
主な著作 『(完本)梅干しと日本刀』(祥伝社黄金文庫)
税込価格 660円(本体価格600円)
内容 「水に流す」とは、日常会話でよく出る言葉。その背景にある日本独自の精神文化を、歴史を追って説き明かしていくユニークな文化論!



 「水に流しましょう」――日本人の間では日常的に使われる言葉だが、外国人にはまったく理解不能な心情・行動様式だという。「今まであったことを、さらりと忘れてしまうこと」(本書より)を指す「水に流す」が、日本人に深々と根付いた背景には、豊かな水資源を有し、稲作による共同体を形成してきた長い歴史が関係している。

 「清浄」を尊び、罪や穢れを「禊」によって洗い流す。神社の神事から日本の村社会での民俗的風習まで、著者の博識と達意の文章によって次々と例証される「水に流す日本人」の暮らし・文化は、知識欲と心の奥底に深い充足感を与えてくれる。

 『梅干しと日本刀』『逆・日本史』などのベストセラーで知られる人気学者であった著者による傑作歴史読み物。1993年刊行作品の新装版だが、その論ずるところは、「水に流す」より訴訟社会の進展や逆恨みによる犯罪急増などを思うにつけ、改めて日本人が考え直すべき美徳ではないだろうか。