源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか
発売日
2014年02月14日
判 型
新書判並製
ISBN
978-4-569-81818-4

源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか
『ドラえもん』の現実(リアル)

著者 中川右介著 《評論家、「クラシックジャーナル」編集長》
主な著作 『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎新書)
税込価格 836円(本体価格760円)
内容 政権交代、フェミニズム、スクールカースト……現代日本のあらゆる問題が『ドラえもん』に書かれていた! 前代未聞の社会学的マンガ論。



 ★クラスでいちばんかわいい女の子しずかちゃんが、いちばん凡庸な男の子の妻となる現実。

 ★最大の武力の持ち主ジャイアンと最大の資金力の持ち主スネ夫が、タッグを組まなければならない現実。

 ★たとえいじめられても、いじめっ子と絶縁する道を選べない最下層カーストにいるのび太の現実。

 ★ドラえもんが歩いていても驚かれない、地域コミュニティが崩壊した郊外に住む野比家の現実。

 ああ、よくよく考えればふしぎ極まりない、なんともせつない人間ドラマ――。

 そう、『ドラえもん』で描かれる人間関係は、はからずも現代社会の縮図なのである。

 1970年に登場して以来、いまや日本人に生まれて知らない人はいない(?)、いやいや、世界的にもファンが多い、わが国の国民的マンガ『ドラえもん』。あまりにも有名で、まるで空気のような存在のためなのか、はたまた子ども向けマンガと軽く見られたからなのか、正面きって論じられることはこれまで少なかった。

 しかしその作風は、たんなる生活ギャグマンガにあらず。『鉄腕アトム』直系のSFロボットアニメであり、『新世紀エヴァンゲリオン』の先を行く「セカイ系」でもあり、『けいおん!』に代表される「日常系・空気系」の元祖ともいえる、マンガ・アニメ史のパイオニアなのである。しかも『サザエさん』同様、主人公が成長しない「ループ物語」でありながら、調べていくと、なんと村上春樹氏もビックリのパラレルワールドだったのだ……。

 そして何より、政権交代、フェミニズム、スクールカースト、世代論、郊外論、戦闘美少女と、戦後からいまにいたる日本社会の推移をまるで予見でもしているかのような、社会学者が舌なめずりして飛びついてもおかしくないほど格好の研究対象なのである。

 『ドラえもん』を読めば日本社会のふしぎがわかる!

 ドラえもんワールドが好きで好きでたまらない人も、そうではない人も、じつは深すぎる『ドラえもん』の世界観にふれてみよう。

 【目次】

 第1章 しずかちゃんの行動は冷静に考えればよくわからない

 第2章 ジャイアンとスネ夫はまるで民主党政権である

 第3章 「ドラえもん世代」は存在するのか

 第4章 のび太はスクールカーストの日本最初の被害者なのか

 第5章 野比家は郊外に住んでいなければならない

 第6章 じつはパラレルワールドだった!