鬼の帝 聖武天皇の謎
発売日
2006年02月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-66474-3

鬼の帝 聖武天皇の謎

著者 関裕二著 《歴史作家》
主な著作 壬申の乱の謎』、『継体天皇の謎』(PHP研究所)
税込価格 565円(本体価格514円)
内容 即位後の東国行幸にはじまり、各地を転々とした聖武天皇。「傀儡の天皇」といわれた男が、胸の内に秘めた野望を著者独自の視点で追う。



 聖武天皇といえば、藤原不比等の孫であり、藤原氏に操られた「傀儡天皇」のイメージが強い。しかし、本書の著者の視点は異なる。聖武天皇は、歴史の敗者や闇の世界の人々(鬼)を取り込むことで、権力と対等に向かい合おうとした「鬼の帝」ではないかと推測する。また、日本の歴史の基層を築いたのは、藤原氏ではなく、聖武天皇その人にほかならないともいうのである。

 その一つの例が、天平12年10月26日、わずか400の兵をともに、忽然と平城京から姿を消し、伊賀、伊勢、美濃、不破、近江をめぐり、恭仁京、紫香楽京、難波京とわたり、平城京に遷都したのは天平17年5月。この足かけ5年にわたる「迷走」である。乱に対する恐怖からの逃走と捉える説もあるが、ある時から藤原氏による聖武天皇のコントロールが効かなくなっていることを考えると、この「迷走」の真意さえ謎なのである。

 気鋭の作家が聖武天皇の正体に迫る、古代史ファン垂涎の一冊。