草枕
発売日
2009年05月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-67258-8

草枕

著者 夏目漱石作 《小説家、評論家、英文学者》
主な著作 『吾輩は猫である』『三四郎』『それから』『こころ』『明暗』(以上新潮文庫)
税込価格 482円(本体価格438円)
内容 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。」……絵画的感覚美の世界を表現した漱石初期の名作を、読みやすい解説・鑑賞付きで刊行!



 「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」――このあまりに有名な書き出しから始まる小説『草枕』は、絵画のような感覚美を追求した、漱石初期の代表作。

 主人公の青年画家は、都会の喧騒から逃れるようにぶらりと一人旅をし、熊本の温泉場へ行き着く。そこで出会った女・那美は美しいが、画にするには何かが足りなかった……。画家はこの地で、彼女をただひたすらに観察することにする。恋でもない、友情でもない、二人の不思議な関係が、美しい文章でつづられていく。

 本作は、「美を生命とする俳句的小説」「美しい感じが読者の頭に残りさえすればよい」と漱石自身が語る芸術作品。漱石自身の芸術観が盛り込まれた小説が、現代的表記と大きな字、豊富な註記でわかりやすく楽しめる。詩歌の解釈に便利な韻文解説付き。

 解説:長尾 剛、鑑賞:森本哲郎、PHP文庫オリジナル編集。