狐の嫁入り
発売日
2002年01月07日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57661-9

御仕出し立花屋
狐の嫁入り

著者 内海隆一郎著 《作家》
主な著作 『鰻の寝床』(光文社文庫)
税込価格 692円(本体価格629円)
内容 江戸深川の仕出し料理屋・立花屋を舞台に事件が……。下働きの少年・元吉の過去に何かある。人情話に定評ある著者の初の時代ミステリー。



 人情の機微をさまざまな形で作品に仕上げてきた著者が、はじめて舞台を江戸に移して描く長編時代ミステリー。

 主人公は、深川で仕出し専門の料理屋・立花屋を営む与七。三人の弟子を使って、四季折々の自慢の料理を供している。ある日、青物市場に買い出しに出かけた与七は、途中、元吉という少年と知り合う。少年は、付け火事件で親兄弟をすべて失った孤児だった。ちょうど下働きがほしいと思っていた与七は、元吉を連れて帰ることに。それから一月が経ち、与七について久しぶりに青物市場を訪れた元吉は、そこで付け火事件の犯人と思しき人物を見かけた。与七はさっそく、岡っ引きの正蔵親分に頼んで犯人捜しを始めるが、事件は武家を巻き込んで意外な方向へと展開してゆく……。

 ミステリーで味付けされたストーリーに、下町人情の隠し味が冴え、さらに江戸料理が彩りを添える。新境地を開いたエンタテインメントの佳編である。