雑誌
Voice 2014年9月号
今月号の読みどころ
朝日新聞がついに読者の疑問に答えるかたちで、吉田清治氏の証言(済州島で200人の若い朝鮮人女性を「狩り出した」との強制連行を裏付ける内容)を、「虚偽だと判断し、記事を取り消し」た。遅きに失した感がある。現在、日韓関係はこじれにこじれている。もちろん、領土(竹島)問題も横たわるが、より感情的に対立してしまうのが慰安婦問題だ。朝日新聞は「今では国際的に女性の人権問題という文脈でとらえています」と書く。では、ぜひ米軍の慰安婦問題もこれから同じように扱ってもらいたいものだ。
総力特集では、「断末魔の朝鮮半島」と題し、北朝鮮問題と慰安婦問題を中心に議論を展開した。中西輝政氏は中韓首脳会談を取り上げ、「力ずくで韓国を中国の属国として取り込もうとする露骨な外交の手法」と習近平外交を斬って捨てる。また、徐才厚・前中央軍事委員会副主席や周永康・政治局常務委員らにメスを入れたことを、「スターリンの大粛清」と比較して警鐘を鳴らす。習近平外交によっていまや「半島の安定」は、完全に崩れたといっても過言ではない。それゆえか、北朝鮮は日本になびき、拉致問題の早期解決を模索しているのだろうか。しかし、荒木和博氏は「拉致問題で安易な幕引きを許してはならない」と説く。また、兵頭二十八氏は、人民解放軍のスパイ機関が繰り広げる作戦計画をもとに、北朝鮮の崩壊をシミュレーションしてみせた。朝鮮半島からの邦人救出の難しさを考えさせられる論考でもある。一方、慰安婦問題に関しては、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏が、国連欧州本部に乗り込んで思ったことを率直に語っている。曰く「国連はひどいところさ!」「次は米軍慰安婦問題だ」。最後に、山田宏氏と高橋史朗氏が「河野談話の検証」について対談。中韓の国を挙げた反日プロパガンダに対抗する必要性を指摘し、慰安婦問題に伴う在外邦人子弟のいじめ問題などへの対策を論じた。
第二特集では、「経済戦略を問う」とのテーマで経営戦略と経済政策について考えた。もともと日本は実力社会で、日本特有の資本主義が企業経営のベースにあったと説くのは、牛尾治朗氏と野中郁次郎氏。片山修氏は「市場創造型」企業を提唱し、きのこのホクトの経営戦略に迫る。また、弊誌で論争を続ける藤井聡氏は、公共投資の削減がデフレ不況を深刻化させたとし、「第二の矢」をデフレ脱却が確実になるまで進めることが最重要課題だとした。
巻頭インタビューでは、ノーベル平和賞受賞者として世界的に有名なムハマド・ユヌス氏にご登場いただいた。「貧困の撲滅」を金融システムの中に求め、ソーシャル・ビジネスの未来について熱く語り、最後に日本の若い人たちに向けて「世界を変える可能性に目を向ければ、新しい考え方やイノベーションが生まれる」とメッセージを送っている。実際に理念を実践に移し、貧しい人たちに夢を与えてきた人物だけに説得力がある。閉塞感が蔓延する日本を奮い立たせてくれ、読むと元気が出る。
総力特集では、「断末魔の朝鮮半島」と題し、北朝鮮問題と慰安婦問題を中心に議論を展開した。中西輝政氏は中韓首脳会談を取り上げ、「力ずくで韓国を中国の属国として取り込もうとする露骨な外交の手法」と習近平外交を斬って捨てる。また、徐才厚・前中央軍事委員会副主席や周永康・政治局常務委員らにメスを入れたことを、「スターリンの大粛清」と比較して警鐘を鳴らす。習近平外交によっていまや「半島の安定」は、完全に崩れたといっても過言ではない。それゆえか、北朝鮮は日本になびき、拉致問題の早期解決を模索しているのだろうか。しかし、荒木和博氏は「拉致問題で安易な幕引きを許してはならない」と説く。また、兵頭二十八氏は、人民解放軍のスパイ機関が繰り広げる作戦計画をもとに、北朝鮮の崩壊をシミュレーションしてみせた。朝鮮半島からの邦人救出の難しさを考えさせられる論考でもある。一方、慰安婦問題に関しては、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏が、国連欧州本部に乗り込んで思ったことを率直に語っている。曰く「国連はひどいところさ!」「次は米軍慰安婦問題だ」。最後に、山田宏氏と高橋史朗氏が「河野談話の検証」について対談。中韓の国を挙げた反日プロパガンダに対抗する必要性を指摘し、慰安婦問題に伴う在外邦人子弟のいじめ問題などへの対策を論じた。
第二特集では、「経済戦略を問う」とのテーマで経営戦略と経済政策について考えた。もともと日本は実力社会で、日本特有の資本主義が企業経営のベースにあったと説くのは、牛尾治朗氏と野中郁次郎氏。片山修氏は「市場創造型」企業を提唱し、きのこのホクトの経営戦略に迫る。また、弊誌で論争を続ける藤井聡氏は、公共投資の削減がデフレ不況を深刻化させたとし、「第二の矢」をデフレ脱却が確実になるまで進めることが最重要課題だとした。
巻頭インタビューでは、ノーベル平和賞受賞者として世界的に有名なムハマド・ユヌス氏にご登場いただいた。「貧困の撲滅」を金融システムの中に求め、ソーシャル・ビジネスの未来について熱く語り、最後に日本の若い人たちに向けて「世界を変える可能性に目を向ければ、新しい考え方やイノベーションが生まれる」とメッセージを送っている。実際に理念を実践に移し、貧しい人たちに夢を与えてきた人物だけに説得力がある。閉塞感が蔓延する日本を奮い立たせてくれ、読むと元気が出る。
公式サイト |
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今月号の目次
巻頭インタビュー 貧困を救う起業システム |
ムハマド・ユヌス |
18p |
総力特集:断末魔の朝鮮半島
緊急寄稿 孤立化する習近平外交 |
中西輝政 |
36p |
朝鮮戦争は終わっていない |
上念 司/倉山 満 |
50p |
シミュレーション・北朝鮮崩壊 |
兵頭二十八 |
60p |
米軍慰安婦像が米大使館前に建つ日 |
トニー・マラーノ |
68p |
すべての日本人を奪還せよ |
荒木和博 |
74p |
「関東大震災」虐殺訴訟が始まる |
拳骨拓史 |
82p |
「河野談話」検証の虚妄 |
山田 宏/高橋史朗 |
92p |
特集:経済戦略を問う
サムライ資本主義の経営 |
牛尾治朗/野中郁次郎 |
100p |
地方発「市場創造型」企業の挑戦 |
片山 修 |
110p |
「第二の矢」でデフレ不況を打ち抜け |
藤井 聡 |
121p |
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日米関係のコモン・センス |
佐藤健志/中野剛志 |
142p |
現地調査 台湾若年層の嫌韓 |
古谷経衡 |
152p |
スキャンダラスなヤルタ会議〈後編〉 背信と決裂のポツダム会議 |
有馬哲夫 |
160p |
昭和天皇にインタビューした男 |
バーナード・クリッシャー |
167p |
排除のルールから共存共栄へ |
溝呂木雄浩 |
183p |
都市連合で人口減に対処する |
太田昭宏/篠原文也 |
130p |
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||
新世代の流儀 「文房具は、日本の製品が世界でも独自の進化を遂げている」 |
清水貴仁/取材・構成:木村俊介 |
192p |
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ニッポン新潮流〈国内政治〉 野次問題で指摘されないこと |
菅原 琢 |
28p |
ニッポン新潮流〈経済政策〉 低所得者に配慮した減税措置を |
飯田泰之 |
30p |
ニッポン新潮流〈生活社会〉 海賊版つぶしで自滅するマンガ、アニメ業界 |
山形浩生 |
32p |
ニッポン新潮流〈科学医療〉 STAP細胞が実在しても変わらないリスク |
最相葉月 |
34p |
テロリスト・安重根〈第7回〉 凶行への序曲 |
早坂 隆 |
198p |
乙武洋匡、世界の大使に会いに行く〈第6回〉 欧州とアジアの架け橋トルコ、EU加盟をめざす |
乙武洋匡 |
208p |
武士の碑〈第12回〉 陥落 |
伊東 潤 |
216p |
覚醒するクラシック〈第15回〉 田園 |
百田尚樹 |
228p |
巻頭言〈9〉 原発を再稼働しないと日本は危ない |
小浜逸郎 |
15p |
私日記〈第177回〉 燕はやってきた |
曽野綾子 |
234p |
平成始末〈第57回〉 一所不住の覚悟 |
山折哲雄 |
246p |
友アートを訪ねて〈20〉 [パブロ・ピカソ] |
原田マハ |
6p |
凛たる女性〈45〉 [稲山琴美] |
撮影/遠藤 宏 |
9p |
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||
Killerフレーズ 時代を斬る!論点 |
1p |
|
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
242p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
243p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
244p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。