Voice
発売日
2025年6月6日
税込価格
880円
(本体価格800円)
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Voice 2025年7月号

今月号の読みどころ

「この100日間で、首都ワシントンは、およそ100年間でもっとも大きな変化を遂げた」。第2次政権発足から100日を迎えた4月29日、ドナルド・トランプ大統領はこのように自画自賛しました。4月2日に発表した「相互関税」の導入を象徴として、世界は予測不可能性を前に大きな混乱に包まれています。このような先行きが不透明な時代に語られがちなのが、私たちの視座を相対化してくれる歴史のアナロジーです。トランプ大統領は19世紀の米国への愛着を隠しませんが、それに限らず、現在の世界と歴史とを照らし合わせることで、混乱期を生き抜く示唆を得られるはずです。歴史の大きな流れをふまえてトランプ2.0を見たとき、それをどれだけ大きなインパクトと位置付けることができるのか。トランプ第2次政権の政策は、世界史を変えうるものなのか。「戦後秩序」が大転換を迎えていると指摘する中西寛氏や、トランプ大統領がめざす「新しい19世紀」について分析する篠田英朗氏らの論考を通じて考えます。そのほか特別企画として、佐伯啓思氏と森本あんり氏の対談を掲載。多極化の時代を迎えたいまこそ「日本とは何か」を問い直すべきとの議論は必読です。第2特集は「国民と賃上げ」。日本、欧米、中国の賃上げ事情を比較しながら、「賃上げ」の可能性と課題に迫ります。巻頭には、文芸評論家の三宅香帆氏と『チ。』の作者である魚豊氏の対談「『陰謀論の時代』に甦るカントの思想」を掲載しています。
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今月号の目次

特集1:トランプ2.0が世界史を変える?
米国の変質が招く「戦後秩序」の大転換
中西 寛
38p
日本を襲うネオ・ヤルタ、多極化、無秩序
秋田浩之
48p
トランプがめざす「新しい十九世紀」
篠田英朗
58p
自国第一主義は「世界恐慌」を招くのか
柴山桂太
66p
トランプ関税は30年型か、71年型か
軽部謙介
74p
戦後「国際危機」から導き出される教訓
保城広至
82p
陸奥宗光の外交論から考える日本の針路
佐々木 雄一
90p
現代に忍び寄る「暴君」の気配
本村凌二
98p
特集2:国民と賃上げ[日本、欧米、中国]
日本の賃上げはなぜ難しいのか
濱口 桂一郎
130p
「公正な賃上げ」に必要な横のつながり──欧米の事例から考える
余田乙乃
138p
中国の「賃金」はどう決められてきたか
柯 隆
146p
「初任給アップ」の隠れた課題と解決策
木村政美
154p
巻頭対談
「陰謀論の時代」に甦るカントの思想
三宅香帆&魚豊
16p
特別対談
「共助を公助する」国へ
泉 房穂&福田 充
162p
特別企画
多極化の時代に「日本とは何か」を問う
佐伯啓思&森本あんり
106p
連載 ほか
「防災庁」設置で被災地の混乱を止めよ
菅野 拓
120p
米国大統領と聖公会
西原廉太
198p
それでも、生まれてきたことを肯定する〈2〉
合理と不合理のあいだ
近内悠太
190p
【新時代ビジョン研究会】
「君の椅子」をめぐる静かな自治――北海道の町村など
山下幸紀
222p
【闘う首長】〈4〉
沖縄市の未来
花城大輔
182p
セクハラする組織や個人は変われるか
津野 香奈美
206p
道徳教育の原点は「家庭」にある
廣池幹堂
214p
令和の事業家
環境変化とともに広がるサメ肉の可能性
高橋 滉
230p
著者に聞く
家族を「愛し直す」ために
堀 香織
234p
ニッポン新潮流〈現代社会〉
「政治的挑戦者」に立ちはだかる壁
西田亮介
26p
ニッポン新潮流〈教育企業〉
対話どころか、話し合いが下手な大人たち
勅使川原 真衣
28p
ニッポン新潮流〈都市文化〉
未来都市から「ミライ都市」へ
藤村龍至
30p
ニッポン新潮流〈現代思想〉
政敵を「感染症」扱いするマスク
谷川嘉浩
32p
地域から日本を動かす〈39〉
映画オーディションからみえる中高生の素顔
結城豊弘
34p
歴史家の書棚〈60〉
伊藤隆『佐々淳行・「テロ」と戦った男』
奈良岡 聰智
238p
巻頭言〈16〉
最初の百日、次の百日
冨田浩司
13p
文明之虚説〈91〉
陸奥宗光
渡辺利夫
244p
戦跡が語る「先の大戦」〈6〉
サイパン島
写真・文/安島 太佳由
1p
里山―未来へつなげたい日本の風景〈19〉
思い出深い京都北山
写真・文/今森光彦
6p
令和の撫子〈74〉
池島実紅
撮影/吉田和本
9p
Voiceブックス
編集者の読書日記

240p
Voiceシネマ
編集者の映画三昧

241p
Voiceレター
読者の感想&意見

242p

Voice とは

 月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。