雑誌
Voice 2025年7月号
今月号の読みどころ
「この100日間で、首都ワシントンは、およそ100年間でもっとも大きな変化を遂げた」。第2次政権発足から100日を迎えた4月29日、ドナルド・トランプ大統領はこのように自画自賛しました。4月2日に発表した「相互関税」の導入を象徴として、世界は予測不可能性を前に大きな混乱に包まれています。このような先行きが不透明な時代に語られがちなのが、私たちの視座を相対化してくれる歴史のアナロジーです。トランプ大統領は19世紀の米国への愛着を隠しませんが、それに限らず、現在の世界と歴史とを照らし合わせることで、混乱期を生き抜く示唆を得られるはずです。歴史の大きな流れをふまえてトランプ2.0を見たとき、それをどれだけ大きなインパクトと位置付けることができるのか。トランプ第2次政権の政策は、世界史を変えうるものなのか。「戦後秩序」が大転換を迎えていると指摘する中西寛氏や、トランプ大統領がめざす「新しい19世紀」について分析する篠田英朗氏らの論考を通じて考えます。そのほか特別企画として、佐伯啓思氏と森本あんり氏の対談を掲載。多極化の時代を迎えたいまこそ「日本とは何か」を問い直すべきとの議論は必読です。第2特集は「国民と賃上げ」。日本、欧米、中国の賃上げ事情を比較しながら、「賃上げ」の可能性と課題に迫ります。巻頭には、文芸評論家の三宅香帆氏と『チ。』の作者である魚豊氏の対談「『陰謀論の時代』に甦るカントの思想」を掲載しています。
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今月号の目次
特集1:トランプ2.0が世界史を変える?
米国の変質が招く「戦後秩序」の大転換 |
中西 寛 |
38p |
日本を襲うネオ・ヤルタ、多極化、無秩序 |
秋田浩之 |
48p |
トランプがめざす「新しい十九世紀」 |
篠田英朗 |
58p |
自国第一主義は「世界恐慌」を招くのか |
柴山桂太 |
66p |
トランプ関税は30年型か、71年型か |
軽部謙介 |
74p |
戦後「国際危機」から導き出される教訓 |
保城広至 |
82p |
陸奥宗光の外交論から考える日本の針路 |
佐々木 雄一 |
90p |
現代に忍び寄る「暴君」の気配 |
本村凌二 |
98p |
特集2:国民と賃上げ[日本、欧米、中国]
日本の賃上げはなぜ難しいのか |
濱口 桂一郎 |
130p |
「公正な賃上げ」に必要な横のつながり──欧米の事例から考える |
余田乙乃 |
138p |
中国の「賃金」はどう決められてきたか |
柯 隆 |
146p |
「初任給アップ」の隠れた課題と解決策 |
木村政美 |
154p |
巻頭対談
「陰謀論の時代」に甦るカントの思想 |
三宅香帆&魚豊 |
16p |
特別対談
「共助を公助する」国へ |
泉 房穂&福田 充 |
162p |
特別企画
多極化の時代に「日本とは何か」を問う |
佐伯啓思&森本あんり |
106p |
連載 ほか
「防災庁」設置で被災地の混乱を止めよ |
菅野 拓 |
120p |
米国大統領と聖公会 |
西原廉太 |
198p |
それでも、生まれてきたことを肯定する〈2〉 合理と不合理のあいだ |
近内悠太 |
190p |
【新時代ビジョン研究会】 「君の椅子」をめぐる静かな自治――北海道の町村など |
山下幸紀 |
222p |
【闘う首長】〈4〉 沖縄市の未来 |
花城大輔 |
182p |
セクハラする組織や個人は変われるか |
津野 香奈美 |
206p |
道徳教育の原点は「家庭」にある |
廣池幹堂 |
214p |
令和の事業家 環境変化とともに広がるサメ肉の可能性 |
高橋 滉 |
230p |
著者に聞く 家族を「愛し直す」ために |
堀 香織 |
234p |
ニッポン新潮流〈現代社会〉 「政治的挑戦者」に立ちはだかる壁 |
西田亮介 |
26p |
ニッポン新潮流〈教育企業〉 対話どころか、話し合いが下手な大人たち |
勅使川原 真衣 |
28p |
ニッポン新潮流〈都市文化〉 未来都市から「ミライ都市」へ |
藤村龍至 |
30p |
ニッポン新潮流〈現代思想〉 政敵を「感染症」扱いするマスク |
谷川嘉浩 |
32p |
地域から日本を動かす〈39〉 映画オーディションからみえる中高生の素顔 |
結城豊弘 |
34p |
歴史家の書棚〈60〉 伊藤隆『佐々淳行・「テロ」と戦った男』 |
奈良岡 聰智 |
238p |
巻頭言〈16〉 最初の百日、次の百日 |
冨田浩司 |
13p |
文明之虚説〈91〉 陸奥宗光 |
渡辺利夫 |
244p |
戦跡が語る「先の大戦」〈6〉 サイパン島 |
写真・文/安島 太佳由 |
1p |
里山―未来へつなげたい日本の風景〈19〉 思い出深い京都北山 |
写真・文/今森光彦 |
6p |
令和の撫子〈74〉 池島実紅 |
撮影/吉田和本 |
9p |
Voiceブックス 編集者の読書日記 |
240p |
|
Voiceシネマ 編集者の映画三昧 |
241p |
|
Voiceレター 読者の感想&意見 |
242p |
Voice とは
月刊誌『Voice』は、昭和52年12月に、21世紀のよりよい社会実現のための提言誌として創刊されました。以来、政治、国際関係、経済、科学・技術、経営、教育など、激しく揺れ動く現代社会のさまざまな問題を幅広くとりあげ、日本と世界のあるべき姿を追求する雑誌づくりに努めてきました。次々と起る世界的、歴史的な変革の波に、日本社会がどのように対応するかが差し迫って闘われる今日、『Voice』はビジネス社会の「現場感覚」と「良識」を基礎としつつ、つねに新鮮な視点と確かなビジョンを提起する総合雑誌として、高い評価を得ています。