歴史街道
発売日
2018年3月6日
税込価格
693円
(本体価格630円)
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歴史街道 2018年4月号

今月号の読みどころ

幕末の日本において、肥前の佐賀藩は「近代化のトップランナー」というべき存在でした。そして、その立役者となったのが、藩主・鍋島閑叟(直正)です。

幕末きっての開明派として知られる薩摩藩主・島津斉彬は、嘉永5年(1852)に反射炉の築造に着手した際、技術者たちを一堂に集めて、「西洋人も人なり、佐賀人も人なり、薩摩人も同じく人なり。退屈せず、倍々研究すべし」と激励したといいます。「佐賀人」を「西洋人」と並べて、「彼らとて、私たち薩摩人と同じ人間である」と藩士たちに呼びかけ、発破をかけたのです。

この斉彬の言葉が示す通り、佐賀藩はまさしく日本の近代化の先駆者であり、牽引者でもありました。日本は、アジア最速の近代化を成し遂げることによって、西洋列強の脅威を撥ね退け、植民地化を防ぎましたが、その背景には佐賀藩の存在があり、そして閑叟がいたのです。

佐賀藩から巣立った男たち――江藤新平、佐野常民、大隈重信、副島種臣、東芝の祖・田中久重らは、幕末から明治にかけて、多方面で活躍しました。その意味でも、明治維新は閑叟の存在抜きには語れないでしょう。

閑叟の活躍ぶりや、その志を継いだ者たちが明治維新において果たした役割、そして「信念」と「夢」を描く特集です。

特集2は、メンタリストDaiGo氏と脳科学者・中野信子氏が分析する「裏切りの戦国史」です。

公式サイト
今月号の目次
外圧に対して幕末期の大名が優秀であった理由
黒鉄ヒロシ
3p
この人に会いたい
vol.135
広瀬すず
7p
特集1 幕末佐賀藩の奇跡 鍋島閑叟(直正) 島津斉彬に先駆けた名君
総論
明治を創造した「近代化のトップランナー」
童門冬二
14p
年表
鍋島閑叟と佐賀藩が駆け抜けた幕末維新

22p
かくしてアジア最速のイノベーションは実現した
米倉誠一郎
24p
島津斉彬、井伊直弼 二人の同志との別れ、そして「孤高の存在」へ
植松三十里
28p
最新研究から見えてくる「名君の意外な素顔」
浦川和也
34p
コラム1
パートナーだった江川太郎左衛門
藤井祐介
38p
インタビュ―
「さおだけ屋」の著者が経営分析 他藩とはここが違う! 財政改革「二つのポイント」
山田真哉
39p
コラム2
開明的だった嫡男は鹿鳴館で…

43p
江藤新平◆この国の礎を創り上げた「真の勝者」
伊東 潤
44p
コラム3
岩倉具視が息子を託した佐賀の藩校

48p
田中久重◆日本初の蒸気船をつくった「東芝の祖」
風野真知雄
49p
佐野常民・大隈重信・副島種臣・大木喬任…◆近代国家設立は、彼らの力なくしてありえなかった
楠戸義昭
53p
コラム4
幕末の佐賀藩士と『葉隠』
藤井祐介
59p
現当主が語る「閑叟公を身近に感じた瞬間」
鍋島直晶
60p



世界的アーティストが語る「日本文化の底力」
第2回 現代人をも魅了する「刀鍛冶の超絶技巧」
舘鼻則孝
69p
女子高生女優・北村優衣がゆく! 老舗の「味」と「歴史」を体験レポート
最終回 割烹 みや古

76p
幻となった「もう一つの明治維新」 松平春嶽と福井藩が目指した新しい日本
長尾 剛
80p
年間購読のご案内

86p
特集2 心理学と脳科学で読み解く「裏切りの戦国史」
明智光秀の心を「メンタリズム」で分析すると…
メンタリストDaiGo
88p
特集2 心理学と脳科学で読み解く「裏切りの戦国史」
裏切り者を生み出した「メカニズム」とは?
中野信子
93p
特集2 心理学と脳科学で読み解く「裏切りの戦国史」
コラム 「裏切り者」と「忠義者」

98p
連載小説 果てなき図面 帝国ホテル建築物語
第16回 竣工の章
植松三十里
100p
「歴史街道」伝言板

110p
BOOKS・CINEMA

112p
この著者に注目!
先崎彰容

114p
歴史街道脇本陣

115p
明治の有名人が愛した「大磯・小田原・箱根」
長谷川敦
118p
差別と闘い続けた人びとの記録 ―国立ハンセン病資料館を訪ねて

125p
「動物」と「歴史」の意外な関係
第5回 犬(後編)
菅井友香 仁科邦男
130p
始皇帝の中国統一は、なぜ可能だったのか
塚本靑史
135p
歴史街道・ロマンへの扉
三木城
林 宏樹
140p
次号予告!

142p
満州国の面影
第3回 帰国者たちの現実
写真・文 鶴崎 燃
143p

歴史街道 とは

「いま、歴史がおもしろい」
 歴史は過去の人物や出来事を取り上げるとはいえ、現代の人びとに役立たなければ意味がありません。また、歴史は本来、そんなに堅苦しく難しいものではなく、もっと身近で楽しいものであるはずです。そして何より、人間を知り、時代の流れを知る上で、歴史ほど有益な参考書はありません。そこで『歴史街道』は、現代からの視点で日本や外国の歴史を取り上げ、今を生きる私たちのために「活かせる歴史」「楽しい歴史」をビジュアルでカラフルな誌面とともに提供します。いわば、新しいタイプの歴史雑誌といえるでしょう。