村山早紀『桜風堂ものがたり』『星をつなぐ手』
『星をつなぐ手』 もし祈るのなら、この優しい人が幸せであるように祈りたい

田舎町の本屋と、ある書店員の身に起こった奇跡を描き、全国書店員の共感を集め、2017年本屋大賞5位になった『桜風堂ものがたり』。その続編の登場です!
郊外の桜野町にある桜風堂書店を託され、昔の仲間たちとともに『四月の魚』をヒット作に導いた月原一整。しかし地方の小さな書店であるだけに、人気作の配本がない、出版の営業も相手にしてくれない、という困難を抱えることになる。そんな折、昔在籍していた銀河堂書店のオーナーから呼び出される。そのオーナーが持ちかけた意外な提案とは。そして一整がその誠実な仕事によって築き上げてきた人と人とのつながりが新たな展開を呼び、そして桜野町に住む桜風堂書店を愛する人たちが集い、冬の「星祭り」の日に、ふたたび優しい奇跡を巻き起こす。
今回も涙は流れるかもしれません。しかし、やはり悲しい涙ではありません!

登場人物

登場人物相関図

「星をつなぐ手」からの登場人物

金田 丈 銀河堂書店のオーナー ⋯ 裕福な実業家。

藤森章太郎 音楽喫茶「風猫」店主 ⋯ 元人文分野の名編集者。

高岡 源 『紺碧の疾風』の著者 ⋯ 五十を過ぎて売れっ子に。

著者メッセージ

プロの作家としてお話を書くということは、もちろん楽しいことではあるのですが、可能な限りの自分の時間と精神力を注ぎ込まないとできないことでもあり、タイミングによってはそれが辛いことも苦しいこともあります。今回の場合は老いた愛猫とのお別れが重なり、少しだけ厳しい執筆になりました。
でも一冊の本が出来上がるということの意味に比べれば、著者が辛かったとか苦しかったとかそんなことは、大概どうでもいいのです。

本というものは、文字で編み上げ、紙に印刷し、ひとが手に取れる形で現世に顕現した物語です。お話を考えた私や関わった人々が行けないような遠くまで旅をして、遠い未来まで残ってゆくものです。そんな魔法のような存在をまた一冊、たくさんの人達の力を借りてこの世に生み出すことができた、その奇跡を祝うだけでいいのだといつも思っています。
それを書いた私自身がそのとき何を思っていたか、そんな感情はそぎ落とすようにして、濾過された大切な言葉だけが、本の姿で遠くへ、未来へと旅してゆくのでしょう。
すっかり軽くなった猫を抱きながら構成を考えた夜のことも、痙攣したあとぐったりと横たわった猫を撫でながら資料を読んだ夜のことも、たくさんの花で飾った棺の中の猫が、まるで眠るように見えたということも、私だけが覚えていればいいことで、たぶん世の本の著者というものは、そんな悲しい夜の記憶を人知れずいくらも抱えているのだろうと思うのです。
いやおそらくは、働いている誰しもが、あえてひとには語らない記憶を、いくつも持っているのかも知れません。

けれど、今回、いち早く完成原稿を読んでくださったある書店員さんが、『この物語を読めて私は幸せです』と感想の言葉をくださいました。『前を向いて、書店の火を灯し続けるべく、精進していきます』と。
その一言で、とても救われた私がいました。本屋さんと本屋さんを愛する人々のために書いた物語を、本屋さんが読んで幸福になってくれたのなら、これ以上何を望むことがあるでしょう。
本と本屋さんと、漫画とテレビドラマと、そして鸚鵡と猫と。
好きなものたちのことを、好きだよと思いを告げるために拵えたような、桜風堂書店の二冊の物語。
『星をつなぐ手』を読んで幸福になってくれるひとがいるのなら、遠い世界へ行ってしまったあの猫も喜んでくれるのではないかと思うのです。

著者サイン

村山早紀(むらやま さき)

1963年長崎県生まれ。『ちいさいえりちゃん』で毎日童話新人賞最優秀賞、第4回椋鳩十児童文学賞を受賞。著書に『シェーラひめのぼうけん』(フォア文庫)、『コンビニたそがれ堂』『はるかな空の東』『ルリユール』『天空のミラクル』(以上、ポプラ文庫ピュアフル)、『アカネヒメ物語』『竜宮ホテル』『花咲家の怪』(以上、徳間文庫)、『春の旅人』(立東舎)、『百貨の魔法』(ポプラ社)などがある。

素敵なブックデザインを作ってくださった方々からも、メッセージをいただきました!

装丁:岡本歌織(next door design)
もし桜風堂書店が本当にあったら「ブックカバーはこんなデザインがいいな」とか、「こんな装丁の本が置かれていたらいいな」など、楽しく想像しながらデザインしました。目次やクレジットなど細かいところ全てでこの物語を感じていただけると嬉しいです。

装画:げみ
村山先生はイラストレーターの得意や好みを理解した上で、リクエストしてくださるので、とてもやり甲斐を感じながら制作することができて、毎回楽しいです。

書店員さんの声

読んで真っ先に思ったのは、私達は本屋をあきらめない。本のある世界に生まれて来てよかった! 本を愛する全ての人に届きますように。
山田恵理子 うさぎや矢板店

この小説には、書店を取り巻く厳しい現実が描かれている。けれど、それ以上に、本を愛する人たちの強い熱意と想いと希望が描かれている。
竹村真志 三省堂書店神保町本店

「一緒にがんばろう」と「仲間はたくさんいるよ」と言われているようなそんな感覚を感じさせてくれる物語です。
奥山由子 戸田書店静岡本店

物語の世界の中で起こった奇跡が、現実の世界で奮闘している多くの書店にも起こりますように。
峯森和代 SuperKaBoS鯖江店

こんなに幸せな気持ちになれるなんて、書店員をやっていて本当に良かったです。
小椋さつき 明屋書店厚狭店

ただ悲観してばかりではいられない、今私がやれることを頑張ろう!と勇気ももらえました。
伊東佳子 ラフレ書店

子どものころ、本屋という場所はまるで夢のようでした。『桜風堂ものがたり』を読んでいると、あの懐かしい場所を思い出します。
波多野彩夏 書店員

村山早紀先生ありがとう。明日も背筋を伸ばしてレジに立ちます。
C.U  水嶋書房金剛店

1作目はこちら!『桜風堂ものがたり』

涙は流れるかもしれない。けれど悲しい涙ではありません

百貨店内の書店、銀河堂書店に勤める物静かな青年、月原一整は、人づきあいが苦手なものの、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で起こった万引き事件が思わぬ顛末をたどり、その責任をとって一整は店を辞めざるを得なくなる。傷心を抱えて旅に出た一整は、以前よりネット上で親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるために、桜野町を訪ねる。そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていた。そして、一整が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になってある奇跡を巻き起こす……。

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桜風堂ものがたり
桜風堂ものがたり

  • [  著者  ] 村山早紀(むらやま・さき)
  • [ 本体価格 ] 1600円+税
  • [  判型  ] 四六判並製
  • [ ページ数 ] 384ページ

万引き事件がきっかけで長年勤めた書店を辞めることになった一整。しかしある町で訪れた書店で彼に奇跡のような出会いが起こり……。

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星をつなぐ手 —桜風堂ものがたり—
星をつなぐ手 —桜風堂ものがたり—

  • [  著者  ] 村山早紀(むらやま・さき)
  • [ 本体価格 ] 1600円+税
  • [  判型  ] 四六判並製
  • [ ページ数 ] 304ページ

桜風堂書店を託された一整だったが、地方の小さな書店だからこその悩みを抱えていた。しかし、彼に手を差し伸べる人が次々に現れて、桜風堂書店にふたたび優しい奇跡が訪れる……。

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