子育て
家庭でできる
発達障害の子が自立するために身につけておきたい大切なこと
発達に障害を抱えている子どもの「できない」を「できた!」に変えて、「ちゃんと自分でできる力」を育てる「ライフスキルトレーニング」の方法をわかりやすく紹介します。
著者(肩書) | 平岩幹男《医学博士・小児科専門医》 |
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主な著作 | 『自閉症スペクトラム障害:療育と対応を考える』(岩波書店) |
編集等 | |
税込価格 | 1,320円 (本体価格:1,200円) |
対象 | 幼児~小学生の保護者 |
頁数/仕様 | 192ページ / 縦:18.8cm 横:12.9cm |
初版 | 2017年1月 |
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私が医師になってから、およそ40年の日々が流れました。そのうちの多くの時間に、障害を抱えた子どもたちや大人の方と関わってきました。つい子どもの時期ばかりを見てしまいがちですが、子どもの時間はたった20年間しかありません。
そこでできることを「ちゃんと」しておくことが、その後の大人の50年間を支えます。「自立」とは、社会で独り立ちをして生きていくことですが、それは税金で養われるのではなく、税金を払って生活する立場になろうということでもあります。
自立という明確な目標を、せめて頭の片隅に置きながら、子どもに接していきたいと考えています。もちろん、思うように自立できない場合もあります。それでも「大人になったときの時給や賃金を10円でもいいから高くするよう、いろいろな練習をしてみましょう」とお話ししています。たかが10円でも、50年ともなれば大きな違いです。
子育てには、誰しも考えるように愛情が欠かせません。しかし、愛情だけで子育てをしようとしても、行き詰まってしまうことも、うまくいかないと感じてしまうことも、感情的になってしまって混乱することもあります。そんなときこそ、具体的にどう対応するかを考えて実行する「技術」の出番です。
子育てには、愛情だけではなく実は「技術」も必要なのです。さまざまな障害を抱えた子どもたちを診ていると、いろいろなアイデアが湧いてきます。そうしたアイデアのヒントは、子どもたちやその保護者の方から頂いていることが多いのですが、それらのアイデアや考え方、技術は、実は障害を抱えていてもいなくても、どんな子育てにも共通して有効なものが少なくありません。
最近は、発達障害を抱えた子どもたちを診ることが多いのですが、そこで見られるさまざまな症状を改善するためには、何をどう具体的にするかを考えて、家庭で何ができるかを少しでもお伝えするように努力しています。単に「がんばりましょう」ではなく、具体性が必要です。
「発達障害を抱えていれば、専門家にしか対応はできないのか?」と聞かれることもよくありますが、そんなことはありません。もちろん、専門家の手助けを必要とすることはあるかもしれませんが、基本は、まずは家庭や幼稚園・保育園・学校など日々の生活の中で「できることを増やし」「将来の自立につなげること」です。
繰り返しますが、これは障害を抱えていてもいなくても同じですし、誰にでも練習すればできることだと思いますので、それをお話ししていきます。 (「はじめまして」より)
【第1章】発達障害って何?
・かけらはみんなが持っている――社会生活に困難があれば障害
・どんなものが発達障害?
・個性でしょうか? 親のせいでしょうか?
・発達障害は治りますか?
・いつ頃から診断できますか?
〈COLUMN〉様子を見ましょう
【第2章】「できること」を増やすために
・大人になって必要なこと いま必要なこと
・必要なのは、愛情と技術
・ライフスキルとは?――3本の柱
・バランスが大切
・楽しくトレーニングするということ――楽しい親子関係に
〈COLUMN〉流れを変える
【第3章】親が知っておきたい「ほめ方」「叱り方」
・ほめるということ
・練習しなければ、できるようにはならない
・「手あげ」と「ハイタッチ」
・「お手伝い」と「ありがとう」
・「ほめること」と「ごほうび」
・「叱る」と「怒る」
・不都合な行動はすでに終わっている。次に起こらないようにする
〈COLUMN〉おだてる
【第4章】子どもが身につけておきたいコミュニケーションスキル[最初のステップ]
・言語的コミュニケーション 非言語的コミュニケーション
・1歳頃から「自閉症スペクトラム障害」を疑うとき
・まずは触ってみよう
・指差しの大切さ クレーン現象 共同注視
・声を出す
・わかっているかもしれません。簡単な指示をしてみよう
・言葉のシャワーから理解――発語へ
・文字も使える、目と耳から――いぬねこ
〈COLUMN〉縦で比較する
【第5章】子どもが身につけておきたいコミュニケーションスキル[次のステップ]
・単語を増やす。助詞を使う
・こそあど オノマトペ
・「音を拾う」から「読み取る」へ
・要求を交互にする。あいさつを覚える
・給食、何食べた?
・園や学校であったことを話す――4Wから5W1Hへ
・言葉を使った遊び――しりとりやなぞなぞ
・作文 日記
〈COLUMN〉選択性緘黙
【第6章】子どもが身につけておきたい生活習慣スキル[最初のステップ]
・「全部できる」にこだわらない
・食事 偏食 食具
・トイレットトレーニング
・着替え
・集団での指示に従う。参加する
・待つ。割り込まない
・声のボリューム カウントダウン
・こだわりを慣らす。変える
〈COLUMN〉いろいろなことを同時に練習しない
【第7章】子どもが身につけておきたい生活習慣スキル[次のステップ]
・生活の流れを視覚化する
・心理的距離感 物理的距離感
・片づけ 忘れ物
・ルールについてのいろいろ
・やめてください ごめんなさい どうして?
・まあいいか 残念だ 仕返し
・セルフコントロール
・テレビ、スマホ、タブレット――全部まとめてICTへの対応
〈COLUMN〉山登り
【第8章】子どもが身につけておきたい学習スキル
・学習、療育は、まず生活習慣から
・療育的対応の基本
・真似をする
・マッチングとソーティング
・名詞を出す 要求語を出す
・2つのボールで概念を理解させる
・誰でもいつでもできる
・誰が療育をするか
〈COLUMN〉見る練習・聞く練習
【第9章】子どもが身につけておきたい学習スキル[次のステップ]
・学習の先取りと「どこまで?」
・合理的配慮
・資格を取る
・算数の勉強
・国語の勉強
・ディスレクシア
・受験勉強
〈COLUMN〉100点満点の功罪
【第10章】子どもが身につけておきたい運動スキル[最初のステップ]
・首がすわる
・歩く
・走る ジャンプの練習
・体のバランス
・微細運動
〈COLUMN〉積み重ね
【第11章】子どもが身につけておきたい運動スキル[次のステップ]
・発達性協調運動障害
・ウォーキングは基本
・いろいろな運動
・楽体リングウィッティ スタイル・キッズ
・字を書くということ
〈 COLUMN〉運動系の習い事
【第12章】大人になって自立するために
・就園 就学
・特別支援教育とその周辺
・二分の一成人式
・税金を払うということ――読み書き算数は必要
・13歳のハローワーク――私たちにできること
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