東条英機
発売日
2002年08月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57788-3

東条英機
大日本帝国に殉じた男

著者 松田十刻著 《作家》
主な著作 『ダビデの星』(徳間書店)
税込価格 713円(本体価格648円)
内容 天皇への忠誠、大東亜新秩序の理想に生きた男は、なぜ日米開戦を選んだか? 戦時日本を指導した東条英機の実像に迫る評伝小説。 



 鈴なりの勲章を左胸にかかげ、胸を張ったちょび髭の陸軍軍人の写真。その表情はむしろ柔和で、<カミソリ>の異名を取った男とは思えない雰囲気を漂わせている。東条英機――太平洋戦争開戦時の首相であり、戦後はA級戦犯として絞首刑になった彼の生涯を描いた本書では、そんな写真を装丁に使った。

 「冷酷・悪辣な侵略者」のように見られがちな東条だが、それは実際の人間像とは程遠いものだ。日本陸軍の一軍人として、何より天皇の忠実な臣下として自らを任じていた東条は、むしろ40代までは軍部でも地味な存在であった。それが54歳にして陸軍次官に就任するや、まるで何かに憑かれたように権力の中枢を占め、対外強硬策を支持し始める。やがて緊迫する国際情勢のなか、首相として国家の命運を担った彼は、日本を最悪の事態へと導くだけの役割を演じてしまう。

 戦時日本のリーダーという運命を背負った男の「光と闇」を、克明に描き出した力作小説。