哲学は人生の役に立つのか
発売日
2008年10月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-70089-2

哲学は人生の役に立つのか

著者 木田元著 《哲学者、中央大学名誉教授》
主な著作 『新人生論ノート』(集英社新書)
税込価格 814円(本体価格740円)
内容 闇屋のアルバイトをしていた青年が、なぜ哲学者となったのか。80歳を迎える著者が、人生の偶然と必然、幸福の虚実について語り尽くす。



 江田島の海軍兵学校で終戦を迎え、あてもなく焼け跡の東京へ。テキ屋の手先や闇屋をしながら、何があっても食べていける術は身につけた。しかし、いかに生きるべきかという悩みは深まるばかりの青年期。ドストエフスキー、キルケゴール、やがてハイデガーの『存在と時間』に難問解決の糸口を見出す。それから半世紀以上を経て、はたして答えは見つかったのだろうか──。八十歳を迎えた哲学者が、波瀾の運命をふり返りながら、幸福、学問、恋愛、死生観までを縦横に語る。著者は哲学の勉強をはじめるまで、農林専門学校に通うなど、さんざんまわり道をしてきた。そしてハイデガー思想を理解したいために、カントやヘーゲル、フッサール、メルロ=ポンティという具合に何十年もまわり道をした、と言う。しかし、まわり道をしたからこそ、新しい道が開けてきたのだと思う、と回想する。思いきり悩み、迷いながらも、力強く生きることの大切さを教えてくれる好著である。