江戸の犯罪白書
発売日
2001年01月05日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-57502-5

江戸の犯罪白書
百万都市の罪と罰

著者 重松一義著 《中央学院大学法学部教授》
主な著作 『鬼平・長谷川平蔵の生涯』(新人物往来社)
税込価格 565円(本体価格514円)
内容 天下太平の世とはいえ、悪の華咲く江戸の町。町奉行や岡っ引たちは、跳梁する犯罪者をいかに捕え、裁いたか。史料に基づく実録捕物帳。



 天下泰平の世とはいえ、大江戸八百八町は、悪の華咲く犯罪都市でもあった。厳しい身分社会の下、どのような犯罪が起き、その裁きはいかに行なわれていたのか?

 日本法制史に詳しく、江戸の風情をこよなく愛する著者が、残虐な印象を与えがちな江戸の刑罰に対する誤解を払拭しようと、江戸犯罪の実像を明らかにしたのが本書である。

 花街・吉原の実態に始まり、富籤など若者が熱中した遊興百態、寺子屋の躾の一環としての仕置、現在の警察にあたる町奉行の仕組みや市民による防犯体制、鼠小僧ら大盗賊の正体、賄賂政治の実態までと、まさに「犯罪白書」として充実した内容である。

 とりわけ拷問、磔、島流しなどの刑罰を規定した御定書が、刑罰をはっきりとさせ、罪人への懲らしめと市民への戒めを目的としており、江戸社会の治安秩序を保つ重要な役目を負っていたことが理解できる。

 読者はそこに、現代の問題点を考えるためのヒントを見出すのではないだろうか。