脳死は本当に人の死か
発売日
2000年03月21日
判 型
B6判変型上製
ISBN
978-4-569-61010-8

脳死は本当に人の死か

著者 梅原 猛著 《哲学者》
税込価格 1,210円(本体価格1,100円)
内容 日本人の心の深淵にある死生観に従うと、脳死による臓器移植は“不自然”である。自ら二度死に直面した著者が死のあり方を問う。柳田邦男氏との対談にも注目。



 昨年、四回行われた「脳死臓器移植」。違和感を感じた日本人は多かったのではないか。

 本書では日本人の「死のあり方」を探究してきた哲学者が改めて脳死の意味を問う。

 著者の見解は明快である。「新鮮な臓器を取り出したいためだけに、まだ心臓が動いている人間を死と認定するのは非情ではないか」「デカルト哲学、プラグマティズムで『死の形』を定義しても、日本人の死生観にはしっくりこない」。また「脳死と日本人の死生観」というテーマで対論した柳田邦男氏は、「死を看取った家族、つまり『二人称の立場からの死』抜きに脳死を進めようとする事は危険」「本人の意思表示なしに臓器移植を可能とする臓器移植法改正は間違っている。自ら臓器を提供しようとする人と家族の心を傷つけないよう、全力を尽くし手間をかけるのが医者の役割ではないか」と論じる。

 ご都合主義、便宜的な「脳死」論に一石を投じ、日本人の死のあり方を真剣に問う力作。