大衆の心に生きた昭和の画家たち
発売日
2007年02月15日
判 型
新書判
ISBN
978-4-569-65839-1

大衆の心に生きた昭和の画家たち

著者 中村嘉人著 《文筆家》
主な著作 『ロマノフ家のオルゴール―堀江オルゴール館物語』(未来社)
税込価格 770円(本体価格700円)
内容 テレビがなかった時代、大衆は何に心動かされたか。木村荘八、中川一政、棟方志功など、昭和30年前後に活躍した挿絵画家たちを回想する。



 大正末から昭和三十年代にかけて、新聞、雑誌の連載小説は大衆娯楽の花形であった。戦前の『怪人二十面相』(江戸川乱歩)や『宮本武蔵』(吉川英治)、『■東綺譚(ぼくとうきたん)、「■」はサンズイに「墨」』(永井荷風)、戦後は『徳川家康』(山岡荘八)、『鍵』(谷崎潤一郎)、『青春の門』(五木寛之)など。それらの物語は、芸術性の高い「さし絵」によって強く印象づけられた。描いたのは、小林秀恒、石井鶴三、中川一政、木村荘八、木下二介、棟方志功、風間完、中一弥……。本書では、昭和に活躍したさし絵画家たちの懐かしい名作と逸話(エピソード)を紹介する。著者は、昭和三十年代、季刊誌「さしゑ」の編集人として活躍。テレビもパソコンもなかった時代、活字メディア全盛とともに「さし絵」も黄金時代を迎えていた、と回想する。しかし、昭和三十九年の東京オリンピックを境に、テレビが大衆娯楽の中心になってゆく。戦後の貧しかった時代から、昭和三十年代に少年・青年期を送った読者には、郷愁をさそう一冊である。