一死、大罪を謝す
発売日
2004年08月02日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-66235-0

一死、大罪を謝す
陸軍大臣阿南惟幾(あなみこれちか)

著者 角田房子著 《作家》
主な著作 『閔妃暗殺―朝鮮王朝末期の国母』(新潮文庫)
税込価格 985円(本体価格895円)
内容 いかにして青年将校の暴発を抑えつつ戦争終結に持ち込むか――終戦日に自刃した最後の陸軍大臣・阿南惟幾の決断と波乱の生涯。



 昭和二十年八月十五日朝、日本の敗戦を目の前にして「一死 大罪を謝し奉る」と書き残し劇的な自決を遂げた大日本帝国最後の陸軍大臣・阿南惟幾。必ずしも武運に恵まれていたとはいえず、帝国陸軍の典型的軍人として平凡な道を歩んでいた彼は、その生涯最後の四か月、帝国陸軍の統率者という要職を担う。戦局が極度に悪化し、徹底抗戦、国体護持を叫ぶ青年将校と、連日の空襲で国土を焼かれ疲弊した国民との間に挟まれながら、巨大な組織の統率者として歴史の舵取りを託された彼は、何を考え、何を決断したのか。

 本書は、自身三十代で敗戦を迎えたが「敗戦の認識はあいまいであった」と自覚した著者が、戦後膨大な終戦資料を読み込み、軍が和平を受け入れるまでの「死闘」を阿南惟幾を中心に再現しようとした一冊である。表向き徹底抗戦の意志を捨てなかった阿南の真意を探りながら、“戦争終末期”の実相を描き出す。PHP文庫版では澤地久枝氏の解説を収録。