野菊の墓
発売日
2009年05月01日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-67259-5

野菊の墓

著者 伊藤左千夫作 《歌人、小説家》
主な著作 『野菊の墓,隣の嫁,春の潮』(講談社文庫)
税込価格 377円(本体価格343円)
内容 「民さんは野菊のような人だ」。叶わぬ純愛が描かれた名作を、読みやすい文字組み・解説で刊行。表題作ほか「守の家」「隣の嫁」を収録。



 「僕はもとから野菊がだい好き」「民さんは野菊のような人だ」……。千葉の農家を舞台に、かなわなかった初恋を不器用なほどストレートに描いた純愛小説『野菊の墓』。本作は、100年のときを越えてなお人々の心を動かす、日本を代表するプラトニック・ラブの最高傑作である。そんな素朴で明るく涙もろい、心に響く物語が、大きな字、豊富なふりがなと註記で味わえる。

 主人公政夫は二つ年上の従姉・民子と互いに思いを寄せ合うが、周囲の反対によって離れ離れにさせられる。のちに民子は不幸に見舞われ、政夫は切ない気持ちで彼女を思い返すのだった……。

 表題作のほか、主人公の子守を純粋にしたう素直な思いが印象的な『守の家』、隣の家の奥さんへ抱いた甘く酸っぱい恋心を描く『隣の嫁』の短編二本を収録。やさしく切ない思いのつまった一冊。

 解説:中谷順子、鑑賞:岸本葉子、PHP文庫オリジナル編集。