きりしたん算用記
発売日
2012年09月14日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-67889-4

きりしたん算用記

著者 遠藤寛子著 《児童文学作家》
主な著作 『算法少女』(ちくま学芸文庫)
税込価格 524円(本体価格476円)
内容 江戸初期の京都、少女小菊と隠れキリシタン・ルチアの出会いが、黎明期の和算に刻んだ足跡とは……。『算法少女』の著者による感動作!



 大勢の人でにぎわう京は北野天神の境内で、どろぼう扱いされて泣いていた天涯孤独な少女・小菊。彼女を救ったのは18、9歳になろうかという若く美しい女性だった。屋敷に連れられていくと、女性はルチアと呼ばれていた。キリシタンなのだ。江戸初期のキリシタン弾圧は、すでに始まりつつあった。小菊は未知の世界におびえるが、ルチアはその聡明さを見込んで、読み書きや算法を学ばせる。

 江戸時代のベストセラー和算書『塵劫記』の著者・吉田光由(与七)を脇役に配し、黎明期の和算と喪われていくキリシタン文化との出会いを、小菊とルチアの交流を通して心洗われるような物語に仕上げた。

 やがて弾圧の嵐が強まるなか、2人は京を離れるのだが……。ルチアの慈愛に満ちた美しい心と、小菊の健気な成長に胸を打たれる。

 ヒット作『算法少女』の著者による「和算小説」の名著。『塵劫記』成立の謎にも触れ、一般読者だけでなく和算ファンにも楽しめる。