月香の森
発売日
2010年06月16日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-77969-0

月香の森

著者 澤見彰著 《作家》
主な著作 『はなたちばな亭らぷそでぃ』(角川書店)
税込価格 1,760円(本体価格1,600円)
内容 時は大正。千疋狼伝説に沸く帝都東京。本多佐与子は、兄が消息を絶った森へと向かう。森にはオオカミと暮らす人々がいて……。



 千疋もの狼が農村に襲来!? と千疋狼伝説に沸く帝都・東京。女学校に通う本多佐与子は、あまり意に添わない縁談の話を、家族から勝手に進められてしまう。沈んだ気持ちを明るくしてくれるのは、地方民俗の調査に出かけている兄からの手紙と、一緒に送られてくる『動物画報』という冊子を読んでいるひと時。兄から久しぶりに届いた手紙と一緒に入っていたのは、スケッチの切れ端のようだった。ふと差し出し場所を確認すると、狼があらわれたという場所と同じ三峯村。兄の身を案じた佐与子は、家を相棒・栗鼠の風太郎とともに抜け出し、兄と交友の深かった『動物画報』の編集長・葉山一美らの助けを借りて三峯村へと向かう。捜索中に滑落した佐与子たちを救ってくれたのは、狼と暮らす人びとだった――。

 「定め」に抗いながらも懸命に生きるものたち、そして「変わりゆくものの哀しさ」「変わらざるものの愛おしさ」を秀でた構想力で描ききった長篇ファンタジー。