太宰を読んだ人が迷い込む場所
発売日
2020年03月12日
判 型
新書判並製
ISBN
978-4-569-84663-7

太宰を読んだ人が迷い込む場所

著者 齋藤孝著 《明治大学文学部教授》
主な著作 『声に出して読みたい日本語』(草思社)
税込価格 1,034円(本体価格940円)
内容 太宰を読むと、ダメ人間でも救われるような気になる。『斜陽』からよくわからない不思議な作品まで、キレのある日本語表現を味わい尽くす!



 太宰の作品を読むと、何かに迷い込んだような心持ちがするのではないか。とめどない堕落、自意識やプライドという厄介な存在、世間とのずれ、さらには日本語のリズムの見事さが綾なす物語世界に入り込めば、何も感じずに素通りすることはできないだろう。

 太宰治の全作品から、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」(『ヴィヨンの妻』)、「生れて、すみません」(『二十世紀旗手』のエピグラフ)、「八月のおわり、私は美しいものを見た」(『満願』)といった忘れ難い文言を抽出し、その魅力を解説。『新釈諸国噺』の中の「貧の意地」のような笑える作品や、よくわからない不思議な作品も網羅する。