ユーラシアの自画像
発売日
2023年03月24日
判 型
四六判並製
ISBN
978-4-569-85480-9

ユーラシアの自画像
「米中対立/新冷戦」論の死角

著者 川島 真、鈴木 絢女、小泉 悠 編著/池内 恵 監修
主な著作 『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』(東京大学出版会)
税込価格 2,090円(本体価格1,900円)
内容 世界は大国の論理だけではわからない!「米中対立/新冷戦」論を超えるべく、非先進国の目線に立って最新の国際情勢を俯瞰・分析する。



 ロシアのウクライナ侵攻で明らかになった自由・民主主義国家と権威主義国家の角逐、すなわち「米欧」VS「中ロ」新冷戦の構図。

 しかし、「米中『対立』に基づく世界観や先進国の視線だけで、現在の世界が捉え切れるものだろうか。

 第一に、非民主主義国を『権威主義体制』諸国としてまとめて理解し、民主主義国との『異質性』を強調するあまり、ロシアや中国などといった国は『合理的な選択ができない』専制主義の国と非難するにとどまり、彼らがどのような世界認識や価値に基づいて政策判断をしているのかが見えなくなる可能性があろう。

 第二に、先進国とともに中国やロシアなどを主語として、開発途上国は『客体』として描かれることが多い。だが、むしろ新興国や開発途上国を主語として、なぜ彼らが時には中国なり、ロシアなりを選ぶのかという視点こそが重要なのではないか。またその際にはそれぞれの国が先進国、そして中国やロシアへの政策をいかにして決めているのかを、その内在的なコンテキスト、国内政治のありようなどから理解することが必要になるだろう」(本書「序章」より抜粋)。

 「『米中冷戦』『米中競争』論では見落とされがちな、ユーラシアの広大な空間の、相互にかけ離れた固有の歴史と政治を持つ諸国家と諸勢力の主体性」(同「まえがき」より)について現在、日本のアカデミズムで第一線に立つ研究者たちが明解に論じる。