流転の中将
発売日
2024年07月08日
判 型
文庫判
ISBN
978-4-569-90412-2

流転の中将

著者 奥山 景布子著 《作家》
主な著作 『葵の残葉』(文春文庫)
税込価格 1,078円(本体価格980円)
内容 官軍への恭順を決めた桑名藩。家中に見捨てられた藩主・松平定敬が、惑いながらも「義」を求め、戦い続けた様を描く感動の力作長編。



 「なぜ朝敵と言われなければいけないのか。我に何の罪があるというのか――」

 心ならずも「朝敵」とされた桑名藩主・松平定敬(さだあき)は、兄で会津藩主の松平容保(かたもり)とともに徳川家のために戦おうとするが、新政府に従うことを決めた最後の将軍・徳川慶喜に遠ざけられてしまう。

 一方、上方に近い桑名藩は、藩主不在のなか、重臣・酒井孫八郎のもとで官軍に白旗を掲げ、藩主を幼君に挿げ替えて新政府に恭順することを決める。

 藩主の座を追われた定敬は、わずかな家臣とともに滞在していた江戸を離れることに……。帰国することもできず、越後、箱館、そして上海まで彷徨うことになった男は、心に如何なる哀しみを宿していたのか。

 美濃高須松平家の四兄弟の運命を描いた、本書の姉妹編『葵の残葉』で新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞をW受賞した作家が、幕末の悲劇を炙り出し、明治維新とは何だったのかを改めて問う傑作歴史小説。